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19.俺の声を聞け 8

「……どこに行けばいい?」 腹を据えてカナに尋ねると、カナは隣町にあるというクラブに来いと、その店名を言った。 店名を控えて、俺は静かに電話を切った。 カナが俺と話し合いたいなんて思ってないことくらいわかっている。 きっと俺を使って卑怯な手口で修平を従わせるつもりなんだろう。 だが、女だと勘違いされてなめられるのも気分が悪い。 今だって頭に血が上って、ムカついてたまらないし、握り締めた拳は怒りで少し震えていた。 お前の思い通りにはさせない! 俺は急いでそのクラブに向かうことにした。 ──指定された店は隣町の繁華街の中にあった。 いまいちこの辺は詳しくない。 まだ夜も早い時間だからか、看板の電気もまだついてない所が多くて目を凝らして歩いていく。 すると、やはり看板の電気は消えていたが、カナが言った店を見つけた。 深呼吸してから気合いを入れて、その店のドアをゆっくりあけた。しかし、店内はあまりにも静かで不気味だ。 本当にこの店だよな? ドアの脇にある看板をもう一度確かめて中を覗く。本当に、ここに修平が? 半信半疑で店の中に入っていくと奥の方に明かりの漏れている部屋を見つけた。 その扉に近付こうとしたとき、後ろから低い男の声がした。 「オメー、誰だよ」 振り向くと見るからに柄の悪そうなやつらが数人立っていた。 「修平はどこにいる!?」 「こいつカナが言ってた奴じゃね?」 そう言うとそいつらは手の指をポキポキ鳴らしながら俺に近寄ってきた。 その異様な気迫に思わず後退りしてしまうと、一番大柄な奴がニヤリと笑った。 「カナが言ってたんだよね。修平とか言う男を探しに来た奴が、男連れてきてたらボコボコにして、女はまわしていいってさ! つか、男だけかよ。女じゃなくてザンネーン」

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