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19.俺の声を聞け 15
俺が2人のやりとりを見ていると目を腫らしたカナがむくっとおきあがり俺に1発、修平に2発ビンタを喰らわせて背を向けた。
「……ホモなんて最低。別れて良かった。私、謝らないからね!」
身についたその鎧はなかなか脱げないのか、あくまでカナが振ったみたいになってる言い方が引っ掛かったものの、カナの声は別れて良かったと言いつつ、体と同様に震えていたように思う。
最後まで虚勢を張った言葉を言い放ち、カナはそのまま走って店を出て行った。
そして、店の中が俺たちだけになると静まり返る。
すると、気が抜けたのか修平は力なくその場に倒れこんでしまった。
「大丈夫か?」
「……あんまり大丈夫じゃないかも。少し横になりたい」
────
─────…
と、言うわけで今、俺は修平を背負って歩いている。
修平を背負うまでにもいろいろとあって、こいつはこんなに怪我してるのに俺の方を背負うと言って聞かなかった。ボロボロになって倒れ込んでいるくせにどの口が言うのかと思ったわけだけど。
そんな修平を黙らせて、俺が修平を背負って帰ることになった。
本当は帰る前に修平を病院に行かせたかったのだが、修平がどうしても嫌がったので仕方なく家に向かっている。
だから今はとにかく早く横にさせてやりたい。それだけ思って歩いていた。
近くの漫喫に行こうかとも思ったけど騒がしいから嫌だし、ラブホとかも考えてみたけど何も持たずに来たから金ねぇし。制服だし。
金がねぇからタクシーなんかにももちろん乗れなくて、時間はかかってしまったものの歩いて修平の家まで帰ってきた。
幸いにも、姉ちゃんは出掛けているのか家の中はシーンと静まりかえっている。
「姉ちゃん留守みたいでよかったな」
「……今日はバイトの日だから、多分遅いと思う」
「そっか」
こんな姿を見たら大騒ぎになりかねない。
とりあえずは、修平を休ませなきゃと思いながら玄関にあがった。
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