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19.俺の声を聞け 16
とりあえずこの埃だらけの体をなんとかしないと。
「お前、埃だらけじゃん。シャワー浴びるか? つか、浴びれるか?」
「……大丈夫と思う」
終始元気のない修平は静かに頷くと、よろよろと浴室に向かおうとするので俺も付き添っていった。
脱衣所に入ると修平は自分で出来ると言って俺のことを入れようとしなかったけど、体を動かすのも辛そうだから髪とか体とか洗って服着るのも手伝おうと思い強引に脱衣所に入って修平の制服を脱がせにかかる。
「自分で出来るからいいよ……」
ここでも修平は嫌がったけど、無理やりボタンを外しはじめた。
「怪我人がつべこべ言うんじゃねぇって」
そうやってボタンを外しシャツがはだけた瞬間、修平の首元がキラリと光った。
それは俺があげたネックレスで、別れたあとでも身に付けていてくれていたんだって思ったら、単純に嬉しかった。
そして、うっかり感動して、修平がちゃんとここにいるんだって実感して、思わず目頭が熱くなりそうになるのを堪えながら修平を風呂場に押し込んだ。
───…
修平の頭や体を洗うのを手伝って部屋着に着替えさせる。
俺の制服も少し汚れていたから、簡単にシャワーを浴びると修平の部屋着を拝借して俺も着替えた。
その間も、修平は俯いたまま何も喋ろうとはしなかった。心配だけど、どう声をかけていいのかもわからずに修平を部屋まで連れて行きベッドに座らせて、俺はドライヤーを取ってこようと思い立ち上がると、修平が俺の手を掴んで顔を上げた。
「……千秋」
その声が今までに聞いたことないくらい弱々しくて、切なくて、俺は焦ってしまう。
「な、情けねぇ声出すなよ」
びっくりした俺はついそんなことを言ってしまい、言ってしまった後で少し後悔した。
つくづく天の邪鬼な自分の性格が嫌になる。けど、俯いたままの修平を部屋に残して俺はドライヤーを取りに洗面所に向かった。
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