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19.俺の声を聞け 21

話はカナが学校の門の前で待っていた日に遡る。 修平に別れを告げられる2日前。 俺たちが遠回りをしながらゆっくりと帰ったあの日。 修平は俺と咲良とわかれたあとに、コンビニに寄って家に帰ろうとしていたらしい。 その帰り道にカナと男たちに囲まれて車に乗せられた。 そして連れてこられたのはあのクラブで、待っていたのは地元でもヤバいことで有名な連中だったそうだ。 『おらおら、そのままじゃ内臓が潰れちまうぞ~』 修平の腹を蹴りながら男が楽しそうに言うとカナがやってきた。 『顔はやめてよね。カノジョに見つかって計画が台無しになっても困るから』 そう男たちに言うとカナは修平のそばに来て微笑んだ。 『千秋ちゃんと別れて、私と付き合ってよ』 『死んでもごめんだ。千秋とは別れない』 『強情ね~。千秋ちゃんがどうなってもいいの?』 このとき修平はカナに俺の話を持ちかけられても動じることはなかったらしい。 何故なら、カナに出会ったのは女装していた俺であって男の俺だとわかるわけがないと思っていたから。でも、次の瞬間修平は固まったそうだ。 『本当に千秋ちゃんがどうなってもいいの?』 修平が固まったのは、カナが持っていたタブレットの画面に公園で談笑している俺たちの写真が映し出されていたから。 修平は写真に写った俺を見て驚きを隠せなかったらしい。 『どうして…………』 『どうして千秋ちゃんがわかったの? って言いたいのかしら』 危機迫ったことを察した修平は唾を飲み込んだ。 …───と、そこまで聞いたところで疑問が浮かぶ。 「カナはさ、俺の写真を持ってたんだよな? ……でも、あいつ俺が来るまで俺が男って知らなかったみたいだぞ」 「それは今から話すから……」 修平が話を続けたので大人しく聞くことにした。

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