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19.俺の声を聞け 22
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ばれる筈がないと思っていた俺の正体が何故わかったのか気になった修平はカナに尋ねた。
『あの時とは格好も違うのに何故わかったんだ』
『確かに記憶の姿と一致させるには時間がかかったわよ』
得意気に笑うカナを見て修平は何か対策を練らねばと考えた。
すると、カナが言ったらしい。
『ま、女の顔なんて化粧でどうにでもなるからね』
修平はカナが言った“女の顔”という言葉が引っかかった。
もし女装した男だという認識をしていたら、わざわざ女の顔という言葉を使うだろうか? と思ったからだ。
そこで、1つの可能性が頭をよぎる。
もしかしてカナは咲良を俺と勘違いしてるのでは? という仮説が浮かんだらしい。
その写真には修平と咲良と俺が写っていて、俺と修平の間に咲良が写っている構図だったそうだ。
真ん中にいるのは咲良だが、ピントが俺に合っていたため写真だけでは判断しづらかったらしいのだ。
でも、確信もないし墓穴を掘って“千秋”の正体がばれてもいけない。
頭の中を整理するためにも、相手の出方を伺うためにも、迂闊には喋れないと、修平は口をつぐんだ。
どれくらい口をつぐんでいたかはわからないと言っていたが、カナが苛立ちを表に出すまで修平は沈黙し続けていたそうだ。
すると、ここまで追い込んでいるにも関わらず自分との復縁を承諾しない修平に苛立ったカナは、タブレットの画面を見せつけながら言った。
『私と付き合うって言ってくれないと、仲間に頼んで千秋ちゃん痛い目みちゃうわよ?』
『千秋にそんなことさせない』
『ふーん。まだそんな風に反抗するんだ? じゃあ、隣にいる男の子も一緒に痛い目に遭わせちゃおうかな? 友達なんでしょ?』
その時、修平は確信した。
カナが“千秋”と思い込んでいるのは咲良だということを……。
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