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19.俺の声を聞け 34
修平とずっと一緒にいたくて口に出たのが、俺たちには不可能な結婚。
でも、それが法律上無理なことなのだったら……。
俺は仰向けになっている修平の横に正座して、背筋を伸ばした。
「なぁ、修平。高校卒業したらさ……一緒に、住まないか? 2人で県外の大学に行こう。俺は馬鹿だし、修平と同じ大学は無理だろうけど、近くの大学に行って一緒に暮らすんだ」
俺……結構、勇気を出して言ったんだけど、なぜか修平は俺をじっと見たまま何も言わない。
子供っぽすぎて呆れられてしまったか?
だから余計に焦ってしまい、両手をバタつかせながらかぶりを振った。
「あ、あぁ……親に学費払わせておいて同棲しようなんてだめだよな。改めて、大学卒業して就職したら……一緒に住んで……くれる?」
それでも、俺のことを見たまま何も言わない修平に、だんだん自信がなくなってくる。
こういうことは、勢いで言うもんじゃないよな。
なんて肩を落としていると、修平の優しい声が聞こえた。
「…………まいったな。先に言われちゃった」
そう言いながら、修平は少しばつが悪そうな顔をして自分の頭を掻いていた。
「何を?」
「時期が来たら僕から言うつもりだったのに」
「だから何を!?」
「大学と一緒に暮らす話」
……えっ!? マジで!
「前からね、志望校を本格的に考える時期になったら言おうと思ってたんだ。あと、一緒に暮らすこともね。千秋と僕の両親にルームシェアは得だって説得しようと思ってた」
「ルームシェア?」
「ルームシェアって言い方の方が同棲って言うより生々しくないだろ?」
つか、生々しいってなんだよ。
でも修平も同じようなことを考えていたんだとわかって嬉しかった。
すると修平は俺を抱きしめながら言ったんだ。
「でもこの夢は叶わないと思ってたから、千秋とこんな話が出来て嬉しくてたまらないよ」
修平が俺の髪を優しい手つきで撫でるので、俺、今……すげー愛されてるって実感して、めちゃくちゃ幸せで。すごく幸せなんだけど……。
「修平が俺のことを思ってしてくれたこと、全部わかったよ」
「千秋……」
だからこそ、俺はあることを実行しようって……決めた。
「だから、俺もお願いしたいことがあるんだけど……」
─────…
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