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第20章 ねがいごとひとつ 1

──── ──… 次の日から俺は修平へのお願いを実行した。 俺からのお願いは全部で3つ。 本当は100個くらい聞いてほしいが、昨日の修平が優しかったから97個は仕方ないからおまけしてやることにした! まず1つ目は、ちゃんと病院に行くこと。 昨日は修平が嫌がったから行かなかったけど、やっぱり心配だから一緒に病院に行く。 あんなに殴られたから内臓とか心配だったんだけど、レントゲンやらCTやら色々と検査した結果、お互いに打撲のみだった。 というより……。 どうしてこんな怪我をしたのかっていう医者への説明の方が苦労した。 意外にお互いの親は思春期男子の殴り合いの喧嘩は友情の証とか言って、わりとあっさり処理してくれて助かったけど(本当は違うかもしれないけど大事がないなら良いと言われた) 医者にはそうもいかず、どうしてこうなったのか簡単に話すには難しかったけど、修平が事件性も無いことを含めうまく説明してくれた。 遅れて学校に行くと。 「なんだ? 仲直りの喧嘩か!? 相当派手にやったんだな!」 内川があっけらかんとして親と同じようなことを言いながら迎えてくれたその隣で、なぜか塚本が目をキラキラ輝かせていた。 「殴り合いの友情……真実の愛!?」 塚本の方は萌えノートを取り出すと勢いよく走っていってしまう。 「えっ、えっ!? 今の何かあったの!? また柏木!?」 あわてた様子の内川は塚本の後を追いかけていく。 当たり前の会話、騒がしい教室、いつもと変わらないはずなのに、なんか日常に戻ってきた……って感じがして、ちょっと気が抜けてしまい、自分の席に座り込むと修平が俺の顔を覗き込んだ。 「1つ目のお願いはわかったけど。あとの2つって何?」 「3つ目は怪我が治ってからだけど。2つ目は、3つ目が遂行されるまで嫉妬するな! だ」 「嫉妬するな? 3つ目って何?」 「まだ教えない! 修平はその間、俺がどこで誰といても、ただ嫉妬するな」 「……浮気とかするの?」 「しねーよ!」 そう言うと修平はそれなら簡単とでも言うように余裕の表情で笑った。

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