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20.ねがいごとひとつ 9

修平は服を買いたかったらしくTシャツやジーンズなどをみて、俺が修平に似合いそうなのを選んだり楽しく買い物をしていた。 お互いの買い物に付き合うことなんて今までもあったけど、今日はなぜかやたらと店員さんに話しかけられてその度に俺はビクビクしてしまう。 声でバレてもやばいので「彼氏さんのですか?」とか聞かれても頷くしかできない俺を見て修平はまた楽しそうにしていた。 買い物も終わり、ヒールのない靴と言えど慣れない靴で足がさすがに痛くなったので、少しだけベンチに座って休むことにした。 「飲み物買ってくるから待ってて」 そう言って人ごみのなかに消えていってしまった修平の後ろ姿を見送りながら、もうすぐ帰らなきゃいけないのかなぁなんて考えていた。 暫くすると修平が飲み物を持って戻ってくる。 一息付くと、修平はまた俺の手を取って歩き始めたんだけど、何故か帰り道とは逆方向に向かって歩いている。 「修平? 駅は向こうだけど……」 「千秋はさ、今日は僕の家に泊まるって言ってきた?」 「うん。言ってきたけど」 「じゃあ、問題ないね」 修平はポケットからスマホを取り出すと誰かに電話をかけはじめた。 「姉貴? 僕と千秋、友達の家に泊まることになったから。……えーじゃないよ。他の友達も見たがって、そう。そう言うこと……さぁ、わかんないな。うん、お願い。うん、わかった」 電話を切ると修平はニコッと笑うと、また俺の手を引いて歩き始める。 「これでよし」 「何がどうなってるんだ? 友達って何?」 「友達は嘘」 「嘘?」 すると修平が俺の手を引いたままある建物の中に入っていく。 こ、こ、ここって……ラ、ラ、ラ、ラブホテルじゃねぇかっ!? 「ま、ま、待て! 待て待て待て! 行かないんじゃなかったのかよ」 「気が変わった」 そう言いながら修平は慣れた手つきで部屋を選択し、また俺の手を引いていく。 「こ、こ、心の準備が……」 「僕が限界みたいだから。観念して」 いやいや、観念してって言われてもだな……。 生まれて初めてのラブホテルにソワソワしながら歩いていると修平が選択した部屋に着いてしまった。

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