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20.ねがいごとひとつ 20

俺が眉間にしわを寄せて不快感をあらわにしていると、修平がなだめるように俺の髪を撫でながら耳元で囁いた。 「さっき千秋が口でしてくれたのとか、上で腰振ってたのとか、鏡でも見てた。可愛かったよ」 「み、みるなよ!」 「見るでしょ? 次は僕が腰振ってるとこちゃんと見てね」 そんな艶っぽい声で言われると無意識に体がビクついて、思わず顔が赤くなりそうで困る。 「み、見ない!」 でも、そんな風に焦ってるなんて知られたくなかったから修平の手を振り払ったら、勢いあまってベッドサイドに手が当たってしまった。 で、その時に俺はなんか変なボタンを押してしまったみたいで一気に部屋がピンク色になる。 「わ! なんだこれ」 「千秋はピンク色の方が燃えるの?」 「ば、ばかか! これは手が当たっただけで……」 そう言いながらピンク照明を変えようと思ってまたパネルをいじると、今度はムード音楽がかかりながら照明がじんわりと変化していく。この色味の変化が無駄にやらしい。 「違うからな! これがいいわけじゃないし!」 可笑しそうにしてる修平を横目にしながら、今度こそ普通の照明に戻さなきゃと焦った俺は照明パネルの前に移動したんだけど、そこで何かを踏んづけた。それはテレビのリモコンだったらしく。 『あっ! あん! あぁぁッ!』 その瞬間、大画面テレビからAVが流れてくる! しかも乱交ものだし! 「な、なんでこんなとこにリモコンが落ちてんだよ! まじで清掃どうなってんだよ!」 焦ったままリモコンを拾って消そうとしたけど、焦って指先で弾いてしまう。 ベッドの上で跳ねたリモコンを笑いながら修平が拾い上げた。 「千秋、焦りすぎ」 「だ、だって……」 「ほんと、可愛いね」 クスクス笑われると余計に恥ずかしくなって修平からリモコンを奪ってテレビを消そうとしたのに、修平はそれを避けると照明パネルを操作して普通の照明に戻してから、にこやかな表情のまま画面の方を指差した。 「この子、千秋の好みだろ?」 そう言いながら指さされた先には確かに好みの女の子が……。 って普通に返しそうになったけど、なんでお前がそんなこと知ったんだ⁉︎ と別に悪いこともしていないのに更に焦ってしまう。

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