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20.ねがいごとひとつ 22

修平の息が耳にかかると思わず体がびくっとしてしまって、一生懸命かぶりを振っても修平は微笑み、俺の肩を抱き寄せながらまたそのアダルトグッズを順番に見ていく。 ── 極太バイブだって。僕のとどっちが太いかな? ── 先が透明だったら千秋の中がよく見えそうだよね? ── 今なら柔らかいからすぐ入るかな? ねぇ、入れてみたい? ── ぐちゃぐちゃに搔きまわすとこ見てていい? 俺は何度も買わないって言ってるのに、修平はわざと艶っぽく囁きながら俺の反応を見て楽しんでるんだ。 それなのに俺はうっかり想像とかしてしまったりして、でも恥ずかしくて耐えられそうになくてどんどん俯いてしまう。絶対に耳まで赤い。またきっとからかわれる。 けど俺ばっかりが興味あるような言い方が気に食わない。 そもそもそういう趣味があるわけでもねぇし! 「だから! 買わねぇーって言ってるだろ‼︎ つか、俺はな! 別にケツになんか入れるのが趣味じゃねぇんだからな! お、お前だから、ゆ、許してる……っつーか……」 言ってるそばから恥ずかしくなって尻すぼみになってしまったけど、ばつが悪くて俯いていると修平が俺の頬に触れて、そのまま顔を自分の方へと向けさせた。 その目は優しく細まっていて、なぜかすごく嬉しそうで怒ってたのに調子が狂う。 「意地悪しすぎちゃったね。ごめんね」 謝りながらも機嫌がいい修平は、隣の飲み物が並んでる販売機から水を一本取り出してキャップを開けて俺にくれた。 「僕だって千秋の中に僕以外のが入るのはやだよ」 「……だったら」 口籠もりながら渡された水をごくごくと飲んだ。そして、飲み終わると修平が手を出すので渡せば、修平も水を飲んでキャップを閉める。 「なんか焦ってる千秋が可愛かったからさ」 「お前、性格悪い」 「そんなこと知ってただろ? でも、今のは千秋が可愛いからだと思うけど」 すると修平はルームサービスで何か食べ物を頼むかって聞いてきたけど、いらないと答えたらまたにっこり笑った。 そして、俺の手を引き寄せて抱き抱えると、そのままベッドの上へと連れていかれる。

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