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20.ねがいごとひとつ 24
──月曜日。
俺の思惑通り学校では修平と俺(女装)の話題で持ちきりだった。
お前ならやってくれると信じていたぜ、眼鏡女!
マジでよくやった! ホントいい仕事するよな。
今回もやはり修平の隣にいた子が俺というのはバレてなかったが、前に見たモデル風の子と修平が一緒にいたと眼鏡女がふれ回ったらしい。
そして女子達の噂話ではその彼女との復縁説が浮上。
真相を聞きに来た女子に修平も「別れていない」と言ってくれたし、噂も含めてやっと元通りなのだ。
そんな様子を上機嫌で眺めていると、さっきまで女子から質問責めにされていた修平が話を切り上げてこっちにやってくる。
それと同時に内川と塚本も来たんだけど、なぜか内川は不思議そうな顔をしていた。
「あれ? なんか噂が復活してね?」
眼鏡女がやってくれたんだ、フフン。
得意げになりながらそんなことを心の中で思っていると内川が続けた。
「一昨日見かけたって話だけど……柏木は、なんでまた女装したわけ?」
…………あっ。
ぬあぁぁぁぁぁぁぁ!!
しまったぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎
噂を広めることにばっかりに気が行ってて、内川達に何て言い訳するかぜんぜん考えてなかった!!
しかも前に女装したのって塚本に無理矢理させられたんだし。
何か理由が無いと俺が進んで女装したみたいじゃん!
いや、結果的に今回は俺が進んで女装したわけなんだけど。
いや! じゃなくて! じゃなくて!
俺、親友に……女装趣味の変態って思われてしまう。
何とかしないと! と思っていた矢先だった。
「罰ゲームだよ」
俺がテンパっていると、フォローを入れるように修平が平然と笑いながら言った。
「罰ゲーム?」
修平は首を傾げた内川と塚本に説明を始める。
「うちの姉貴とゲームして負けた罰ゲーム。なんか盛り上がっちゃってリスキーな賭けをすることになっちゃってさ……。それで全敗した千秋が女装で、負け越した僕が一緒に歩くことになっちゃったんだ。ね? 千秋」
「……う、うん」
ね? って言われたから頷いたけど、内川達はそれで納得してくれるだろうか。
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