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番外編⑤ 腐女子彼女と親友たちの日常 7

逆に俺なら、塚本さんが……総受けとか……ダメダメダメ! 俺以外となんて絶対に駄目だって! でも、そういうことはやっぱり塚本さんにしたら俺は、ほかのヤツとどうにかなったっていい存在ってことなのかな。 あぁ……地味にへこむ。 なんか、一気に気分が落ち込んでしまったけど同時に今朝、新藤に言われたことを思い出していた。 ……やっぱ、ちゃんと話さなきゃだよな。 彼女の趣味を否定したくはない。夢だって応援したい。 でも、このモヤモヤが心の中にある限り俺は多分駄目なままだ。 でも勇気の少し足りない俺は、そのまま彼女の顔は見れずに、ノートに文章を綴るシャーペンの動きを見ながらしか言えなかった。 「なぁ、塚本さんはさぁ。嫌じゃないわけ?」 「何が?」 「俺が……他のヤツと……。あの、ヤるのとか……想像するのとか……」 するとシャーペンの動きが止まった。 「どうして?」 「どうしてって……やっぱさ……」 どう説明したらいいんだろう。 上手く言えずに襟足を掻きながら俯くと、突然塚本さんが立ち上がった。 その顔はなぜか青ざめていた。 「……私、もしかして内川くんを傷つけてる?」 「えっ?」 塚本さんはシャーペンを握りしめたまま震え、今にも泣きそうな顔になっていく。 「えっ、え……」 あまりの展開に頭がついて行かず、ただ目の前で泣きそうになっている彼女の肩を掴んだ。 「き、傷ついてるとかじゃ、ないからっ! ただ、俺が勝手に嫉妬してるだけで、塚本さんは悪くないから!」 そう言って一旦落ち着くと、彼女がゆっくりと顔をあげた。 そして、今まで思っていても言えなかったことが自然と言葉になって出てくる。 「俺、すげー小さいやつだって自分でも嫌なんだけど。塚本さんがいつも俺のこと考えて話書いてくれるのとか嬉しいくせにさ。……総攻めっていろんなキャラとヤったりするんだろ? 塚本さんにとって俺は他のやつとヤったりしてもいいくらいの存在なのかな……なんて考えちゃったりしてさ……」 塚本さんはじっと俺の目を見て話を聞いている。 緊張はまだまだ続いていて上手く喋れないけど俺はそのまま話を続けた。 「俺、もし塚本さんが他のやつにヤられるとか想像するだけで駄目だし。俺以外に触らせたくないし……っても、へ、変な意味じゃないからな。……でも、かと言って、また柏木の総受けとか俺以外のこと考えられるのも嫌なんだ……って、わかりにくいしワガママすぎるよな。……ごめん」 しどろもどろだし、自分でも情けないくらい要点がわからない。 あぁ、やっぱ駄目だ。全然、うまく言えねぇ。 「すげー俺ってカッコ悪い……でも、好きだから。ほんと、ごめん」 もう、なんで謝ってるかすらわからないけど。

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