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番外編⑥ 千秋と修平と受験と受難⁉︎ 6
「柏木、よく頑張ったじゃないか! 89点だ」
「…………」
テストが返ってきて言葉を失った。
「どうした? 嬉しそうじゃないな」
「そんなことないです」
先生が不思議がるのも無理はない。
目標点まで上げるのさえ難しいと言われていたのに、結果はそれを軽く飛び越えてしまった。
なのに俺の顔が晴れないからだ。
先生にはわからないだろうが、今俺の心情はとても複雑だ。
その複雑な心境を噛みしめていると修平が俺の顔を覗き込んできた。
「千秋、どうだった?」
にこやかに笑う修平になんとなく解答用紙を見せたくない。
成績が上がったのは嬉しいけど、俺が単純だっていう報告みたいで悔しすぎる。
でも見せないわけにもいかないので、何も言わずに解答用紙を渡すと修平はにっこり微笑んだ。
「凄いね。これはご褒美をあげないと」
「言っとくけどな、俺はご褒美欲しさにやったわけじゃないんだからなっ!」
すると修平は可笑しそうにクスッと笑い、目を細めた。
「わかってるよ。ご褒美はただ僕があげたいだけだよ」
そして俺に顔を近付けると、俺にしか聞こえないくらいの声で続けて言ったんだ。
「今日、うちに泊まりにおいで…───」
無駄に色っぽい声に思わず生唾を飲み込んでしまった自分が恥ずかしくて咄嗟に顔を背けると、修平はクスクス笑いながらその場を離れていった。
ドキドキしたままの胸に手を当ててため息がでた。
……やっぱ俺って単純。
さっきのめちゃくちゃ楽しみにしてるみてぇじゃねぇかよ。
あの時は、冗談だって言ってたけど、裸にエプロン……してくれたりしないかな?
って、別に楽しみになんかしてないんだからなっ!
──────
───…
「この勉強方法って千秋には向いてるのかもね」
何度目かの情事が終わって、既にクタクタな俺にキスしながら修平が爽やかに微笑んで言う。
その日は勉強の息抜きにしちゃハードな夜で、いつも思うんだが修平の体力って底なしなんだろうか。
しかも裸にエプロンはやっぱなかったし! でも、制服にエプロンもかっこいいから好きだけど……ってちがーう‼︎‼︎
「じゃあ、次の模試でA判定だったらもっと凄いことしてあげる」
「マジでこれ続ける気かよ!」
「何? 具体的に聞きたいの? わがままだなぁ」
「だから話を聞けー!」
「じゃあ、今度は本当に裸エプロンしてあげようか? 今日、がっかりしてたみたいだし」
「が、がっかりなんてしてないし! 俺は人参ぶら下げられた馬じゃねーって言ってるだろ!」
なんて言いながらも、そんな修平の勉強方法は受験本番まで続けられることになるのだった…───。
つか、学力より体力のが心配なんだけど!
と言いつつ、俺の成績はうなぎ登りだったのが一番情けない。
「千秋と修平と受験と受難!?」 =END=
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