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21.新たなはじまり 4

まだ将来のことなんてピンと来ないけど、大学はきっとその先の就職やら、今後の人生って言ったら大げさかもしれないけど、大きく変わってくるに違いない。 俺自身は、志望大学に行くのがやっとだからそこを卒業して就職したなら、今の俺にとってはベストを尽くしたことになる。 でも、レベルを2つ3つ落とすことになる修平はそうじゃない。 本人が良いと言ったところで、結果的に俺がそうさせてしまってるみたいでなんか嫌なんだ。 修平の広い視野を狭めてるみたいで……。 そんなの、俺がお荷物みたいじゃん。 修平の邪魔だけはしたくない。 そんなお前の可能性を潰したくないって思って……。 ……あのときは、久しぶりに大喧嘩したっけ。 結局、それから話し合いを経て修平は俺の話に納得し、渋々ではあったが元々の志望校である国立大学に第一志望を戻した。 そして、見事お互いに第一志望に合格したので約束どおり、約1年半前からルームシェアという名の同棲生活をスタートさせたんだ。 ────── ──── 俺らが住んでいるところは、いろんな大学が集まっているようなところで、俺と修平の大学もわりと近い距離にある。 これから4年間通いやすい場所にマンションを借りて俺は大学に自転車で通っているわけだけど。 学校に行っても修平がいないっていうのは、最初は確かに寂しく感じた。 でも家に帰れば会えるしお互いに新しい友達も出来たし、充実した毎日を過ごしている。 お互いの知らない時間が増えたからこその、信頼関係っていうのもあるって思うようにもなってきた。 多分こうやって人は大人になっていくんだと思った。 そして今は2年目の夏休み。 修平の20歳の誕生日まで1週間を切った。 今年は20歳の誕生日だし、プレゼントもちょっと奮発したいなと思って今月はバリバリ稼ぐ為にバイト入れまくったけど朝からのシフトはやっぱり苦手だ。 マンションのエレベーターの中でさっきもらったおにぎりの3分の1くらいを口に含んで、エレベーターを降りると自転車置き場に向かいバイト先に向かう。 途中の信号待ちでまたおにぎりを頬張って自転車を走らせた。

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