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第22章 快活シンパシー 1
───…
「ぬあぁぁぁぁ!! もうこんな時間だ! 修平、なんで起こしてくれなかったんだよ!」
次の日、起きたら家を出なければいけない時間になっていた。
ジリリと鳴り続けている目覚まし時計を急いで止めて飛び起き、すぐに修平に文句を言いながらバタバタと用意をする。
「何回も起こしたよ」
「俺は初耳だ!!」
「僕は起こしたんだけどね。はい、今日のおにぎり」
「あ、ありがとう」
またいつものような慌ただしい朝が始まる。
大急ぎで着替えて、歯を磨き顔を洗うと修平が作ってくれたおにぎりを鞄にしまって靴を履いた。
「いってきます」
「千秋、頑張ってね教育係」
「おう! ビシッと躾けてやる」
すると修平はクスッと笑うといつものように俺の顎を軽くつかみ軽いキスを落とした。
「いってらっしゃい」
「お、おま……どさくさに紛れて……」
文句言ってやろうとしたら修平が俺の時計を指差した。
「早く行かないと遅れちゃうよ。教育係さん」
ニッコリ笑ってひらひらと手を振る修平に言われて時計をみると、本気でやばい時間になっていたので慌てて部屋を飛び出す。
「やべっ、行ってきます!」
「気を付けてね」
ん? なんか俺……良いように扱われてないか? とは気になったけど、とにかく今は時間がねぇ。
大急ぎで自転車置き場に向かうとバイト先の喫茶店へ猛スピードでこぎ始めた。
今日からバイト先に新人がやってくる。
どんなやつだろ? 気の合うヤツだったらいいなぁ。
おとなしそうな方がいいかも。チャラチャラしてない感じのやつがいい。チャラいやつ苦手だし。
俺より背が低かったらなお良し。
そんなことを考えながら仕事にはなんとか間に合って、店指定の黒いエプロンをつけて店にでる。
「おはようございます」
「あ、千秋くんおはよう」
そう言ったマスターの前に背の高い見知らぬ後ろ姿が見えた。
あれが新人か? その新人らしき人物は茶髪で毛先を遊ばせてる感じからして、俺の理想だったおとなしそうなやつではなさそうだ。(ついでに背の低いやつでもなかった)
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