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23.キミと甘いバースデー 10
修平がロウソクの火を消し終わり、部屋の電気をつけてふと思う。
「修平もハタチかぁ。あ、そういえば酒とか買ってくるの忘れてたな」
「別にいいよ」
「でも、お祝いなわけだしな……」
そういったところでプレゼントを渡さなくては! と思った俺は自分の部屋へと向かった。
そしてすぐに戻ってくると修平に袋ごとプレゼントを渡す。
「これお祝い」
「何?」
「あけてみれば?」
あんなにどんな風に渡そうかなんて考えていたくせに、いざ渡すとなると少し気恥ずかしくなって素っ気なく渡してしまったのだが、修平はそんな俺の態度など気にする様子もなく嬉しそうな顔をして受け取ってくれた。
なんか目の前でプレゼントを開封されるのってドキドキする。
どんな反応をするだろうと、様子を伺いながら見ていると、箱の中身を確認した修平の顔がほころんだ。
そして小さなベルベット調のワインレッドの箱を開けて、俺にとても優しい笑みを向けたんだ。
「……指輪?」
「そうだよ。嬉しいか?」
そういって顔を覗き込むと修平がにっこりと微笑んで俺のことを見つめた。
「嬉しいよ。ありがとう」
修平に渡したプレゼントというのはシンプルなホワイトゴールドの指輪。一応、内側にはイニシャルが彫ってある。
これを買うために夏休み頑張ったと言っても過言ではない。
二十歳のお祝いだし、何か特別なものにしたかった。
実は、修平には内緒だけど俺も同じのを自分用に買ってあるのでペアリングだったりする。
恥ずかしいから絶対に言わないけど。そして、修平の前では絶対につけないけど。
「はめてやるから、右手かせ!」
すると修平は少し怪訝そうな顔をした。
「なんで右手? 恋人からの指輪は左手でしょ?」
「いいから右手かせよ」
「左がいいんだけど」
なかなか右手を出しやがらない修平にイラついて俺は強引に右手を引き寄せた。
するとなおも左手がいいと言う修平は右手を引き戻す。その攻防が何回も繰り返されると、いい加減に鬱陶しくなってくる。
そして思わず大きな声を上げながら修平の右手を引き寄せた。
「左は結婚指輪だろ! 取っておかなきゃ勿体ないだろ!!」
……あ。
思わず叫んでしまった。
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