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23.キミと甘いバースデー 13

や、や、やばい! 誤魔化さねば! 「それは、アレだ! その箱は……瓶の王冠とか入れる用の箱だ!!」 「へぇ、千秋にそんな収集の趣味があったとは知らなかったよ」 「だから返せ!」 そういって取り上げようとしたが、かわされて失敗する。 立ち上がって取り返そうとするも修平の方が背が高いから失敗続きで、そのまま何回かチャレンジしているうちにまたリビングへと戻ってきてしまっていた。 すると修平が手を引いて俺をソファーに押し倒し、そのまま俺に馬乗りになるように跨った。 馬乗りになった修平は顔だけはめちゃくちゃ笑顔なんだけど、その笑顔の裏側を想像するとめちゃくちゃ怖いんですけど……。 修平は笑顔のままその箱を開けると、修平のと同じ指輪を取り出して俺の顔の前に出す。 そして内側を見るなり少し不機嫌になった。 「なんで千秋の方にはイニシャルが入ってないの?」 「え、だって……」 「だって、何? 恥ずかしかったの?」 修平に見下ろされながら、思わず目を逸らした。 確かに、俺の指輪にはイニシャルの刻印がない。 ……恥ずかしさってものもある。けど、理由はそれじゃない。 「どうして?」 修平の指輪に入れてもらった刻印は“C to S”だった。俺から修平に贈るって意味だ。 でも、その後に自分の分も買うことにした時に、店員のお姉さんと俺の方の指輪の刻印はどうするかって話になった。でも対になる俺の指輪に入れるとすれば、“S to C”が一般的だと言われて自分で買うのになんか変だなって思ってしまったのだ。自分で買うのに修平から贈られたって書くみたいで。 あの時、お姉さんは変ではないって言ってくれたんだけど、寧ろ刻印が入ってないって方が揉める原因になりかねないから、せめて“ & ”を使ってイニシャルだけでも入れたらって言ってくれたんだけど……それもしっくり来ないし、そもそも買ったことすら修平に言うつもりもなかったから大丈夫だって高を括っていた。 「……恥ずかしかったわけじゃない」 「じゃあ、どうして?」 「修平にあげた指輪のイニシャルの刻印見ただろ? 俺から修平にって意味じゃん」 「うん、そうだったね」 「でもそれを逆にして自分のに入れるの変じゃん。自分で買うのにさ。それに違う入れ方だと余計に変だしさ。……だからだよ」 俺って格好悪いなぁって思って俯いていると、修平が俺の頬を撫でた。 おずおずと顔を上げると、修平は優しく微笑んでいた。

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