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23.キミと甘いバースデー 14

そして目を細めながら俺に優しくキスをした。 「じゃあ、今度は僕から千秋に贈るね。その時に彫刻しよう。僕から千秋へって彫ってもらうから」 どうして修平は、言葉が足りなさすぎる俺の気持ちもわかってくれるのだろう。 でもやっぱり天邪鬼な俺は、さっきとは打って変わってとても機嫌の良さそうな修平の笑顔が擽った過ぎる。やっぱり指輪はもっとわからないところに隠しとくんだったと少しだけ後悔した。 「千秋、手を出して」 そして俺が渋々右手を出すと、修平は満足そうに微笑みながらその指輪を俺の右手の薬指にはめる。 ちくしょう。こっそりペアリングだって心の中で楽しもうって思っていたのに。 開けても見えないとこに隠しとくんだったな……なんて思っても後の祭だ。 「隠すなら開けても見えないとこにしないとね」 「うるさい! 俺も今気づいたんだっ!」 修平はクスッと笑うと俺の右手を取って指輪を指でなぞる。 「本当は左手にはめようと思ったけど、結婚のときに勿体ないらしいから許してあげるよ」 「許すって……なんだよ」 「せっかくペアで買ってくれたんだろ? だったらしないと意味ないじゃないか」 「くそ、クローゼットのドアが開いたからだな」 「最初からクローゼットの中だと思ったからそっちに押し倒したんだけどね」 「え、なんでわかったんだ!? つか、わざとなのか!!」 修平はにっこり笑って俺の質問をかわし、テーブルの上にあるケーキを引き寄せた。 「千秋のことは僕が一番よくわかっていると思うよ。違う?」 違わないけど、とても悔しい。 すると修平は近くにあったフォークでケーキをすくうと一口食べた。 「千秋も食べたい?」 食いたいに決まってるので、起き上がろうとしたら修平にやんわり止められる。 「食べさせてあげるからそのままでいて」 そういって俺の口元にケーキを運んできた。 口をあけると甘いケーキが入ってきて、その味が一気に口の中に広がっていく。 やっぱりここのケーキはめちゃくちゃうまい! そして修平はもう一口また口の中に入れてくれた。 「おいしい?」 「うまい!!」 「千秋、口の端にクリームついてる」 「え?どこ?」 「……ここ」 どこって聞いたら修平の顔が近づいてきて俺の口を舐めてクリームをぬぐった。

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