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24.キスして酔わせて 4
ドアを開けるとそこには航がいて、修平は不思議そうな顔をしていたが俺は驚きを隠せない。
「航じゃん! なんで俺の家知ってんだよ⁉︎」
航に住所を教えたことはないはずなのにと思っていたら、航はけろっとした顔をして言った。
「マスターに住所聞いた」
おいおい、マスター……個人情報流出させまくりなんだけど。
すると航は玄関先で修平を見るなり、また腰が折れるかと思うくらい曲げて丁寧に挨拶を始める。
「はじめまして、佐々木 航です。千秋の同居人さんですよね?」
「佐々木……あぁ。はじめまして、新藤 修平です。千秋が教育係してる人ですよね。今日はどうしたんですか?」
「オレ今日は休みなんですよ。千秋も休みだって聞いたから遊びにきたわけです」
「お前は俺の都合とか無視か! つか、修平も航も同い年なんだから普通にしゃべれよ」
すると航は修平の様子を伺うようにして、修平が頷くと嬉しそうに笑った。
そしてはにかんだ航は大きなスーパーの袋を見せつけてくる。
「みんなで飲もうと思って買ってきた」
袋の中身を覗いてみるとビールやらチューハイにつまみまで入っていた。
「なんだこれ? 昼間から飲むつもりか?」
「休みなんだからいいじゃん。それに夏休みももうすぐ終わるしさ。パーッと行こうと思って」
「いやいや、待てよ。いきなり来てこっちの都合も考えろ」
「何? どこかに行く予定だった?」
「イク予定……」
って、おい! 何考えてんの、俺ー!?
いやいやいやいや、航が言ったのは“行く”だから! “イク”じゃないから!!
バカ! バカな俺!!
修平のせいでピンク色の妄想が頭を駆け巡り、それが一瞬でも航に見られたような気分になって1人で勝手に恥ずかしくなってしまった。
「千秋どうした? 顔が赤いぞー」
そう言って航が俺の額に手を伸ばす。するその伸ばされた腕の袖口を何故か修平が掴んだ。
「佐々木くん、ゴミがついてたよ」
修平はこの上なくにっこりと微笑んでいた。
「 まじ⁉︎ ありがとう!」
修平につられるように笑った航は、今度は修平の顔をまじまじと眺めはじめた。
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