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24.キスして酔わせて 5

まじまじと修平の顔を覗き込むと、航は何か納得するかのように頷いた。 「いやーほんとに噂通りのイケメンだね」 「噂?」 「噂っても千秋発だけど、同居人がすっごいイケメンだっていつも言ってくるから」 「いつもなんか言ってないだろ‼︎」 俺が不機嫌そうに眉をひそめれば、ヘラヘラと笑う航が今度はやや小声で耳打ちした。 「こないだの話さ、こんだけイケメンならしょうがないと思うぞ」 「うるさい!」 航が言ってるのは咲良が俺より修平の方に懐いている話のことだと思う。 格好悪いから修平には言ったことはないし、これからも言うつもりもないのに余計なことを。 「こないだの話って?」 「あ、それは……んごっ!」 そう修平が尋ねると、航が言いそうになったので慌てて航の口を塞ぐと、修平の眉が僅かに動いて視線がいつもより冷ややかになった気がした。 「ずいぶんと仲がいいんだね」 修平が笑って言うから航も嬉しそうに笑っているけど……。 ……もしかしなくても修平、怒ってる? 修平がこんな風に他人に微笑むでもなく、とびっきりの笑顔を見せるときは……絶対に機嫌が悪い。 修平が機嫌悪くなる理由なんて、やっぱり誕生日なのに航がやってきたからだろう。 とにかく航を帰さなければ! 「とにかく航は帰れ! 今日は修平の誕生日だし」 「そうなのか!? それじゃお祝いしなきゃ。ね、修平くん! 祝い酒飲もうよ」 それは俺がするからいいんだよ! と心の中で叫ぶ。帰れって意味だって何でわかんないんだよ! つか、仕事はあんなに出来るのに空気が読めないやつだな。 なんなんだ⁉︎ 天然か? 天然なのか!? それでも意地でも帰そうとドアに手をかけながら航の背中を押して追い出そうとしていると、修平がまたとびっきりの笑顔を俺たちに向けたのだ。 「別にいいんじゃないの? 千秋も仲良いみたいだしさ。どうぞ佐々木くん、入っていろいろ話そうよ」 え? 俺は一生懸命航を帰らす努力をしていたというのに。 修平、機嫌悪かったんじゃないの? もー、わかんねぇ!

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