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24.キスして酔わせて 6

おれの混乱はよそに、航は嬉しそうにしながら靴を脱いでリビングへと入っていく。 「広ー、やっぱオレの1Kとは全然違うな」 部屋をキョロキョロと見回してる航に修平が話しかけた。 「佐々木くん、コーヒー飲む?」 「ありがとう。あと、航でいいよ。千秋もそう呼んでるから」 「そう……」 そのやりとりを後ろから見ていた俺だけど、この2人が並んだらでけーな……。 改めて見るとそう思った。修平と航って背同じくらいか? いや、少しだけ航のが高いか。 修平だって180近くあるだろ? じゃあ、航は180超えてるな。 ……何食ったらそんなにでかくなれんだろ? 「はい、コーヒー」 修平はにっこりと微笑みながら航にコーヒーを出した。 「どうもありがとう」 コーヒーを受け取ると航はリビングのローテーブルに買ってきた酒やつまみを並べていく。 航はどっしり腰をすえて飲む気満々だし、修平も普通に座っているし。 な、なんなんだこの図は……。 「千秋も座ったら?」 そう修平が自分の隣の床をポンポンとしたので、そこに座ることに。 すると航が「千秋はビール派?チューハイ派?」と聞いてくる。しかし、俺が答える前に修平が答えてしまった。 「千秋はまだ未成年だから駄目だよ」 「少しくらい良いじゃん。誰も見てないわけだし」 「有り得ないほど弱いんだ」 その言い方がなんだかバカにされた気がして。 「少しくらいなら大丈夫だって!」 そういってみるが修平に軽くため息をつかれてしまう始末。 確かに前に間違えて飲んだチューハイ1本でぶっ倒れてしまった過去があるので、強く言えないのがもどかしい。 すると航が可笑しそうにケラケラ笑った。 「へぇ~千秋って酒弱いんだ。今度どんだけ弱いか飲ましてみるか?」 「別に酒くらい飲めるし! もうすぐハタチなんだぜ!」 するとすかさず修平が「千秋はまだ19だろ?」と突っ込む。 「だからもうすぐって言ったろ!? なんだよ! 修平だって今日ハタチになったばっかりの癖に!」 俺たちが言い合っていると航が間に入って、まぁまぁと止めた。 「じゃあ、今日はオレと修平くんが飲むことにしようよ。お子様千秋はジュースだな」 ほんの数ヶ月しか違わないくせに、こういう時むかつくんだよな。 渋々コップになみなみとオレンジジュースを注いでもらうと、缶ビールを持つ2人と共に修平の誕生日に乾杯した。

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