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24.キスして酔わせて 11
「そう? 賑やかに過ごすのも悪くないなと思ってたんだけど」
「それならよかったけど」
修平がそう言ってくれたことに少しホッとしてソファーに座るとその隣に修平も座った。でもホッとするといつもの天邪鬼な俺が出て来てしまうのは俺の悪い癖だ。
「楽しかったなら良かったけどさ、俺はまったく素面なんだから面白くもなんともないけどな」
やっぱり俺だけ仲間外れだったことがムカついてて思わず悪態ついてしまうと、売り言葉に買い言葉……ってこれもそう言うのだろうか。修平は落ち着いた言い方だったけど少し冷ややかに返して来た。
「そんなに酒飲みたかったの? 弱いくせに」
「弱かったのは高校のときの話だろ? 今はそこんとこだって成長してるはずだ! ハタチになるんだから」
「体質ってものはそんなに大して変わらないよ」
「お前は過保護すぎんだよ! いいよ、航と飲みに行くし」
修平はきっと駄目だって言うに違いないと思って、わざと言ってみたんだが……。
「へぇー、そう」としか言わずにキッチンに向かっていってしまった。
なんだよ! いっつもは母ちゃんか! ってくらいにいろいろ言ってくるくせに、今日はやけにあっさりなんだな。
それがちょっと不満で、テレビでもつけようとリモコンを掴むと、戻ってきた修平にリモコンを取り上げられた。
「何すんだよ」
「そんなに酒飲めなくて悔しかった?」
「はぁ? リモコン!」
「こっちの気も知らないでいい気なものだよね。僕は少し怒ってるんだけど」
怒ってる? 何が? ……って思い当たる節はひとつしかなくて。
「やっぱり航が来たこと怒ってるんじゃねぇか! さっきいいって言ったくせに」
「別に航くんが来たことは怒ってないよ。面倒だなとは思ったけど」
「じゃあ、何だよ!」
すると、修平は俺に迫るように近づいてくる。
どんどん迫ってくるので体をそらすとバランスを崩してソファーに倒れこんでしまった。
そして修平は俺に覆いかぶさってくるとまた囁くように尋ねた。
「……そんなに酒飲みたかった?」
「そりゃ、俺だけ仲間はずれみたいで気分悪いだろ!!」
迫られて負けたくなかったから強気に言い返すと、修平が妖艶な目で俺のことを見る。
「そんなに飲みたかったら飲ませてあげる」
そう言ってさっきキッチンから持ってきたジュースのようなものを口に含むと俺にキスをした。
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