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24.キスして酔わせて 13
ほろ酔いだからなのか、今までは意図的に言わないようにしてた言葉のストッパーみたいなのが外れてしまって、思ったことが全て口からぽろぽろと出てしまう。
でもそんなことも今の俺には深くなんて考えられなくて、ただ修平に嫌われたくないって想いだけが心を占めていた。
「僕が嫌うとでも思う?」
「思わないけど……怖いのは別……」
修平がどう思っても離れないと言うかのようにぎゅーっと抱きしめる力を強めると、修平のクスクス笑う声が耳に届いた。
「千秋を嫌いになんかならない。千秋はいつもそれ気にしてるんだね。僕たちもう何年付き合ってると思ってるの?」
「……まだ3年」
「まだ、3年か……。嬉しいこと言うんだね」
すると修平が俺の手を引くと、ひざの上に跨がらせるようにして座らせた。
その顔はにっこりと微笑んでいたけど、俺が気になるのは修平が何に怒っているのかっていうことで。
「なぁ、何に怒ってるの? 教えてくれよ」
修平の肩を軽く揺するようにして問いかけると、軽く目を伏せゆっくりと口を開く。
「……千秋が僕の名前を呼び捨てにしだしたのっていつだっけ?」
「ん? 高2のときだろ?」
いきなり何の話なんだろうと俺が首を傾げると、修平は少しだけ困ったように眉を下げて小さく息をはいた。
「付き合ってだいぶ経ってからだったよね?」
「そう、だった……かな。うん、そうだな」
確かにそうだった。呼び方なんて塚本に指摘されるまで何とも思ってなかったんだもんな。
そんなことを思い出していると、修平が俺の髪の毛を撫でながら少し拗ねたような表情をする。
「どうして知り合ったばかりの航くんのことはもう名前、呼び捨てにしてるんだよ?」
…………え? 航のこと?
「……え? もしかして修平が怒ってるのって、それ?」
「怒っているというよりは……嫉妬、かな」
「嫉妬って……」
「航くんはまだ知り合って間もないはずなのに千秋とは気が合うみたいだし、好きなものだって一緒みたいじゃないか」
「そんな話、したっけ?」
「航くんが自分の話をするときに、千秋と似てるなって思ったんだよ」
そう言うと修平は俺の髪を軽く撫でながら俺の頬に触れた。
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