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24.キスして酔わせて 14
その目はなんだかばつが悪そうで、でも寂しそうにも見えた。
「趣味も似てる、気も合う、それですぐに打ち解けて名前で呼び合ってるって思ったら……嫉妬したんだよ」
そう言って軽く頬を赤らめて視線を逸らした修平が、妙に可愛く見えてしまった。
「嫉妬したの? 修平が、航に?」
ありえないだろ? 修平が航に嫉妬だなんて。
すると、だんだんそれが可笑しくなってきて噴出すように笑ってしまった。
「笑うなよ」
「だって、修平が航に嫉妬って、ありえねぇし。あはは、でもホッとした。嫌われてなくてよかった」
「だから嫌わないって言ってるのに」
修平が微笑むように俺を見るとなんだか心まであったかくなるような気がする。
ほんの少しのことなのに凄く幸せなようなふわふわした気分なのは、やっぱり酒のせいなのかな。
そして気分が良くなった俺は修平の首に腕を巻きつけた。
「もう、俺……修平としか酒は飲まねぇ」
「本当に素直だね」
「……だから、もうひと口だけ飲ませて」
「酒気に入ったの?」
「……酒ってか、口移しが。べつにジュースでもいいけど」
すると修平はクスクスっと笑うとにっこり微笑んだ。
「可愛いから、もうひと口だけ飲ませてあげる」
修平はもうひと口チューハイを口に含むと俺の口にキスしながら流し込んだ。
桃の香りが広がって、でも後口は苦くて……でも、そのまま修平と舌を絡ませあえばそれすら甘いような気がしてくる。
「修平……もう1回」
「酔っぱらうよ?」
「あと1回だけ。飲み込んだあとの修平の舌がめちゃくちゃ気持ちいいから、お願い」
「千秋のおねだりに弱いの知ってて上目遣いしてるの?」
完全なるおねだり体制の俺は、いつの間にか上目遣いでおねだりしていたらしい。
「本当にあとひと口だけね」
おねだりに成功した俺は、おねだりついでにもう一つお願いしてみる。
「その後のベロチューは長めな」
「ほんと素直だね」
そう言って修平は最後のひと口を口移しで俺に飲ませると、リクエスト通りに酸欠になってしまうくらい長いディープキスをしてくれたんだ。
酒のせいで喉はやっぱり熱い。体もぽかぽかしてきた。頭もぼーっとするけどなんか気持ちいい。
…………なんだろう。
修平がいつもの何倍も格好良くみえる。
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