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25.念ずれば福を呼ぶ⁉︎ 2
修平の足音がゆっくりと近づいて来るのがわかったので、急いで張ってでも部屋を出たいのだけどすぐに追いつかれてしまう。
そして修平は俺の横にしゃがんだ。
「連れて行って欲しい? 腰、立たないんだろ?」
「そ、そんなことない!」
「そう? 昨日は激しくしすぎちゃったから心配してたんだけど。大丈夫なんだ?」
「大丈夫だって見ればわかるだろ!」
強がってそう返せば、修平はふーんとこたえると俺の顔を覗き込むようにした。
「千秋、昨日のこと覚えてる?」
「き、昨日!?」
やべぇ、声が裏返っちまった。
突然聞かれて思わず声が裏返ってしまったけど、動揺してると思われたくなくて出来るだけ落ち着いて話を続ける。
「昨日って何だ? わ、忘れた」
だからお前も忘れてくれ! 忘れろ!
そう心の中で願うも、その願いは聞き届けてもらうことは出来ないようで。
「そうなの? 千秋から誘ってきて、僕の上でエロく腰振って……」
「ぬあぁぁぁぁぁ!! もうそれ以上言うな!!」
「思い出したみたいだね」
そう言ってニヤリと笑うと、修平が俺のことを抱き上げてリビングのソファまで連れて行ってくれた。
すげー、屈辱的な気分だ。情けねぇ……。
ありえないくらい落ち込んでいると修平がコーヒーを入れてくれる。
コーヒーの香りはいつもと同じで爽やかなのに、なんなのこの気分。
「はい、コーヒー。体大丈夫? 頭とか痛くない?」
「頭よりも、腰とケツが痛ぇよ」
「マッサージしてあげようか?」
「いや、いい。……もう俺、酒は飲まない」
「もうすぐハタチなんだから飲めるんじゃなかったっけ?」
そういう時、修平はものすごく意地悪そうに笑うのだ。
あー、ムカつく。
「飲まねぇったら飲まねぇの!」
「千秋はやめといた方がいいかもね。僕以外の前では」
「お前と一緒でも飲まない!!」
「昨日は僕としか飲まないって言ってたくせに」
「撤回だ!!」
真っ赤になって叫ぶ俺を見て可笑しそうに笑う修平を見ていたら悔しくて、コーヒーを一気飲みすると案の定舌を火傷してしまうし。
もう、何から何まで今日はマジでツイてないかも。
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