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25.念ずれば福を呼ぶ⁉︎ 3

───… その日は夕方からバイトだった。 起きた時は腰が崩壊寸前でどうなることかと思ったけど、修平をこき使って過ごしていたら夕方頃になると体もそれなりに動くようになってきたし、これならちゃんと働けそうで安心する。 「じゃあ、行ってくるな」 バイトへ向かう準備を整えて出かけようとした時、玄関先でなにやら神妙な面持ちの修平が俺のことを呼び止めた。 「千秋ちょっと……」 「何?」 あまりに真剣な表情だったから、なにを言われるのかと身構えながら聞き返すと、修平は真剣な顔のまま言った。 「航くんには、気をつけろ」 …………は? 俺が言葉の意味を理解することが出来ず呆然と立ち尽くしていると、修平は念を押すようにもう一度言う。 「だから、航くんには気をつけろ。千秋のこと可愛いって言ってたし心配だ」 「は⁉︎ なに言ってんだよ」 こういうことをマジで言うから修平は厄介だ。 「そのままの意味だよ。千秋のことを可愛いって言ってたから気を付けて」 「お前な俺の友達を勝手にホモ扱いするな!!」 俺は呆れと怒りをあらわにしているのに修平はやれやれとでも言いたげな顔をしてため息をつく。つか、寧ろため息つきたいのはこっちだし! 「千秋は自分の可愛さを自覚しないと」 「可愛さってなんだ⁉︎ つか、可愛いとか言うな!」 あー、もうマジでイライラする! それは可愛いって言われたこともだけど、気をつけろって言われたこともだ。 それってなんか俺、信用されてないみたいじゃないか。 そう思って苛々した俺は、思わず大きな声を出してしまったのだが……。 「お前も眼科に行きやがれ! このクソ修平。それにな、心配って俺のこともっと信用しろ! 俺が…………好きなのは、修平だけだ…し……」 苛々したまま最初こそ勢い良く言葉を発していたものの、かなり尻すぼみになってしまう。 それは自分が口にしたことがめちゃくちゃ恥ずかしいことじゃないかって気付いてしまったからで……。 恥ずかしいから修平が何かを言い出す前に「い、いってきます」と、急いで部屋から出て行った。

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