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25.念ずれば福を呼ぶ⁉︎ 8
そもそも男同士って結婚できないから、しようと思うならできる国に移住か?
でも俺は日本語しか話せないから海外は辛いよな。……ってことは、養子縁組的な?
いやいや、それじゃお互いの親にどう説明するっていうんだ。
つか、同棲って男女なら事実婚とかってあるけど、それって男にはやっぱり適応されないものなんだろうか。
簡単に結婚とか口走ってる割には、いろんなことを考え出すと頭が痛くなる。
まだ未成年だし、学生だし、親のことを思うと……俺も修平も長男だし。
「おーい、千秋どうした?」
いろいろ考え込んでいると航が俺の顔を覗き込んでいた。
「……ん、いや」
「同性だと悩みもあるんだろうな。オレでよかったら相談に乗るしな」
航の屈託ない笑顔はちょっと俺を落ち着かせる。
「……今まで誰にも言ってなかったし。誰にも感付かれたこともなかったんだ。……でも、初めてバレたのが航で……よかったかも」
そう言って航を見上げると、航は「そうだろ?」って得意気に言いながらニカッと笑った。
それからは店も忙しくなってきて、俺はホールの方も手伝ったりしていたら、あっという間に交代の時間を迎えていた。
今日で長時間入るシフトは終わり。
明日から学校が始まるので、また夕方のシフトが続く。
なんか今日はいろいろ疲れたなぁと思いながら帰ると修平も部屋にいて、部屋中にいい匂いが充満していた。
「ただいま。あれ、今日カテキョなんじゃ?」
「うん。あちらの都合でね、明日になった」
「そっか」
手を洗い部屋着に着替えながら、今日航に俺たちのことがバレたことを思い出す。
やっぱり修平に言った方がいいのかな。
修平は航に気をつけろとか言ってたから、航が俺らの仲を知ってるって教えてやったほうが安心するかも?
……でも、修平のことだから、また余計なこと心配したりするときあるし。
逆に仲を知ってるとか言ったら航の前で無茶しかねないかもな……。
なんかいろいろ考えた結果、とりあえず今は修平には言わないことにした。
───…
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