── ───… 「おーい、ちあきぃー！ さっきから機嫌悪いなぁ。そんなにオレがモテて悔しいか？」 「別にそんなんじゃねぇよ」 バイト終わりに、航と晩飯を食うため近くのファミレスにやって来ていた。 航はさっきの出来事からなんとなくテンションの低い俺のことをからかって笑っている。 「もう、なんだよー。あ、わかったぞ？ オレをあの女子たちに盗られるみたいで嫌なんだろー？」 「なんだよそれ！」 「だって千秋ずっと機嫌悪いじゃん。だからそうなのかなーって思ったんだよ」 「そんな訳ないだろ！」 膨れながらジュースを飲んでいるとまた航がケラケラと笑った。 「でも、オレのことが良いって言ってた子の連れは千秋のファンだって言ってたぞ」 「ファンってなんだよ！ 芸能人かよっ!! つか、慰めはいらねぇって」 「いや、本当だって。カワイイって言ってたもん。良かったなぁ～」 また航はオレの頭をガシガシとする。 でも絶対に違うし、それに男なんだから可愛いとか言われても嬉しくないし。 そんなことを思っていると、「でも……」と航が続けた。 「千秋には修平くんがいるから、別に女子にモテるとか関係ないんじゃねぇの？」 「……そう、だけど」 そうは言ったものの、それとこれとは別だって思いもあって、思わずため息が漏れた。 「なんで、俺の周りってみんなモテるやつばっかりなんだろ」 でもそんな俺の独り言にまた航はコーラを飲みながらあっけらかんとこたえる。 「引き寄せてんじゃねぇの？」 「お前、ウザイ！」 すると航はストローを咥えながら笑っていた。 「ほんと今日の千秋もずっとツンツンだな」 「悪かったな！ 俺はこういう性格なの！」 「えー、でもオレは千秋がモテないとは思えないんだけどなー」 そんなにモテないの？ と付け加えて航が首をかしげた。 なので、高校のときの連敗話や、告白と思っていたら違う告白だったこととか、話していったわけだが……。 「まぁ、人生にはモテ期ってあるらしいじゃん？ 千秋だって来るだろ」 「いつになることやら」 「でも、世の女子たちの言葉を代弁してやるとすれば、女の子の憧れと付き合ってる時点で運を使い果たしたのかもな」 「マジでか!?」 またケラケラと笑いながら航は飲み物をストローで一気に吸い上げ飲み干した。