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25.念ずれば福を呼ぶ⁉︎ 17

そんな風に思いながら頬杖をつきストローで飲み物を啜っていると、航のボソッと呟くように言った言葉が耳に届いた。 「……でも、修平くんもひどいよな」 思わず視線をあげる。 「…………え? なんで?」 「えー、だってさ、千秋もずっと童貞は嫌なんじゃないの?」 そんな風に言われて少しドキッとした。 「そ、そんな風に思ったことはないけど」 「そうなの?」 「いや、やっぱ付き合いたての頃はそんなことも思ったりしたけどさ。今はあんまり気にしてないっていうかさ」 「ふーん。千秋がそれでいいならいいけどな」 航はにかっと歯を見せて笑った。 航に言われて思い出したけど、前は自分が童貞だとか気にしてたときがあったっけ。 あの頃は、次は絶対に俺がやってやるとばかりに意気込んで、修平に突撃しては失敗して……でもいつの間にかそれほど気にならなくなったというか。 修平とずっと一緒にいるわけだから関係ないって思うようになってきたんだよな。 それに自分で2回もプロポーズまがいのことをしてるわけだし……。 なんて昔の自分に思いを馳せていると、航がいきなり俺の顔を覗き込んできた。 「うわ! なんだよ!」 「そんなに驚くことないだろ。さっきから時間大丈夫? って聞いてるのに」 「あ、そうなのか。今、何時?」 スマホで時間を確認すると、俺たちはゆうに2時間はファミレスに居座っていたようで……。 つか、ファミレスでどんだけ下ネタ語ってたんだ俺たちは! 長居してしまったのでそろそろ帰ろうと会計を済ませると、店員のお姉さんが福引券を3枚くれた。 「この先の商店街広場で福引をやってますので、良かったらどうぞ」 「福引?」 「そうです。5枚集めるとクジが引けるんですよ。豪華賞品が当たるそうです」 すると航が何かを思い出したように財布の中をごそごそと探して、少し折れ曲がった福引券を出してきた。 「オレ、2枚持ってた! これでクジ引けるじゃん行ってみようぜ。豪華商品気になるし」 「まぁ、当たらないだろうけどな。行ってみよっか。参加賞とかあるのかな?」 そう言うと店員のお姉さんが「ティッシュですよ」と教えてくれた。 俺たちは、商店街広場に向かうことにした。

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