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25.念ずれば福を呼ぶ⁉︎ 19

───… 「修平! ただいまー! 帰ってるかぁ!?」 「おかえり……ってあれ、航くんも一緒?」 「こんばんはー! おじゃましまーす!」 そう言いながら航は俺より先に靴を脱ぐと勝手に上がっていってしまった。 「おい、航待て! 勝手に上がるな!」 「いいじゃん。今から作戦会議するんだから」 すると修平が「作戦会議?」と言って首を傾げる。 「説明するからとりあえず行こう」 そして3人でローテーブルを囲むように座ると、修平は不思議そうな顔をして俺たちを見ていた。なので俺と航は顔を見合わせ頷くと鞄の中からあるものを取り出す。 「修平、いいもん見せてやるよ。びっくりして腰抜かすんじゃねぇぞ!」 俺が得意げに言うと、航が勝手にドラムロールを口ずさみ始めた。 めんどくさいけどせっかくだから乗ってやって、ジャジャーンと目の前に豪華な祝儀袋を見せ付ける。 その豪華な祝儀袋には“特賞”と書かれていた。 「…………特賞? これって商店街の?」 「そう! さっき商店街の福引で当ててきたんだ!!」 「オレは当たるように念じた」 すると修平は目を丸くしながらその祝儀袋を見ていた。 「すごいじゃないか。一番良い賞だろ?」 「そうだよ。俺が当てたんだ!」 「オレは当たるように念じた!」 俺も航も興奮してて交互に同じことばかり言ってしまう。 だって今まで福引きと名の付くものは当たった例がない。 ガラガラくじは基本的にティッシュとかお菓子とかの参加賞しか貰えなかったし、年賀状のお年玉でもせいぜい切手シート止まりだった俺がまさか特賞なんてものを手にするなんて思いもしなかった。 「すげーな、本当に航は何か持ってたんだな。疑って悪かった!」 「え、疑われてたのか? ひどいなー。あははー」 お互いに妙なテンションのままでいると、クスクス笑いながら修平が俺たちに紅茶を入れてくれた。 すると航が俺から祝儀袋を取り上げて中身をあける。 中にはご招待券と書かれたチケットが入っていた。 「高級老舗旅館なんてなかなか泊まる機会ないから楽しみだなぁ。なー、千秋いつにする?」

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