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26.湯けむりで目隠し 6
だいぶ余裕をもって来たのでチェックインまで時間があり、とりあえず旅館に荷物を預けて近くを散策しようってことになる。
多くの旅館が立ち並ぶこの温泉地でひときわ高級感漂う老舗旅館を目の前にして少しだけ緊張してしまうが、俺たちが入っていくと仲居さんたちが出迎えてくれて荷物も預けられたので、温泉街へとくりだした。
まずは4人で温泉まんじゅうでも食べながら散策することに。
辺りを見回してみると、紅葉の季節とあってどこの山も真っ赤に色づいていてとても綺麗だった。今年は寒暖差があったからとても綺麗に色付いているらしく観光客も多く見られる。
しばらく歩いていると温泉街の案内所みたいなのを見つけたので寄ってみると、温泉マップというパンフレットを見つけた。
それには、この温泉街にある土産物スポットやら工芸品、温泉源の地図などが載っていて、俺はその温泉源で飲める温泉水っていうのが気になった。
「これ温泉マップだって! 泉源行ってみようぜ! 温泉水が飲めるって」
すると航は首をかしげる。
「それって旨いの?」
「体には良さそうじゃね? 温泉って体に良いしさ。あと温泉たまごも有名と書いてあるぞ」
「温泉たまご! 絶対食いたい!」
すると航は温泉たまごに反応し、泉源に行ってみようってことになった。
俺はせっかくなので温泉源を見学することにする。泉源は柵で囲われた中にあって、上から眺められるようになっていた。
なかなか温泉の泉源なんて見る機会なんかないから、温泉はこんな風にして湧き出してるのかとわかって面白い。
「千秋、温泉水」
「あ、ありがとう」
俺が泉源を見ていると修平が温泉水をもらってきてくれたみたいで早速2人で飲んでみる。
どんな味なんだろう? と期待した初めて飲んだ温泉水って……意外に期待した割には何の変哲もない味に感じた。俺の味覚とかが貧相なのかもしれないけど。
「なんかお湯って感じだな」
「まぁ、温泉だから湯ってのは間違いではないけどね」
俺のボキャブラリーの欠片もない感想を修平がやんわり受け止めてくれていたとき、後ろから笑い声が聞こえてくる。
「なんだよ、その感想」
振り向くと同じように温泉水を持った東海林と、温泉たまごを抱えた航がいた。
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