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第8話 気になる寝言

和樹の家から今日は仕事に向かう。 啓司は昨日わざと和樹の家に泊まった。 あの泊まった日に気になったのだ。 和樹は夜中に寝言を言いながら泣いていた。 それが無性に気になったのだ。 そのことが啓司の頭から離れない。 「置いていかないで・・・お願い待って・・・」 そう言いながら泣いていた。 和樹の第一印象はプライドの高いメス猫のイメージだった。だからとても意外だった。 そして案の定昨夜も寝ながら唸っていた。20歳の和樹に何があったのかは知らないが、どうしてもほっておけないと思ってしまっている。 啓司はもし、和樹が自分を必要としてくれるのであれば、近くにいて、どうにかしてやりたいと思った。 また理由をつけて泊まりに来ようと思っていた。 一方、和樹はこの啓司が一緒に寝てくれることに安心感を感じていた。 あの日偶然玄関の前に倒れていた男なのに、不思議と一緒にいると心地が良かった。

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