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第9話 アルバイト初日

この日はこの前面接に行ったフォトスタジオのアルバイト初日だった。昨夜ちゃんと食事をしたからだろうか、それとも啓司と一緒に寝たからだろうか?体調が良かった。 フォトスタジオのドアを開ける。 「あ〜和樹君!今日からだったよね!よろしくお願いします!」 カメラマンの百合子さんが迎えてくれた。 この百合子が和樹の義姉のあやの知り合いだ。 「あやちゃん、お腹大きくなってる?もう大分とお腹目立ってきてるんじゃない?」 妊娠していることも知っているようだ。 「はい。姉とこの前会った時は、胎動がすごいと言っていました」 「そっかそっかー。もうすぐなんだろうなー」 そう言いながら、スタジオを案内してくれる。 「和樹君、彼女がここのメインのメイクさん。直美さん」 「直美さん、今日からアシスタントに入ってもらう和樹君」 お互いに紹介された。 「和樹君、メイクの学校出たばっかりなんやんね?前、あやさんの結婚式の写真見せてもらって、実力は大体わかってるから、うちが忙しかったりした時には代わりをお願いするかもしれんし、そん時はよろしくね。当面はまずうちのアシスタントみたいな感じになるけど、まあボチボチやろ!」 この直美さんは関西の人のようだ。 さっぱりしたショートヘアで40歳くらいの素敵な女性だ。 「はい。僕、メイクの仕事初めてなのでよろしくお願いします」 「はいは〜い。今日は忙しくないからとりあえず今から来るお客さんのメイクしてもらおっかな」 そういうことになった。 このフォトスタジオは元は街の写真館だった。それを百合子さんがお父さんから継いで、普通の記念写真だけでなくアーティスト写真やオーディション用の写真、結婚式場へのカメラマンの派遣なども行っていた。そしてメイクはこのアーティスト写真やオーディション用の写真、記念写真を取りに来られる方がオプションで付けれることになっている。意外とこのメイクオプションが受けている様で人手が欲しかった様だった。 「今日はオーディション用の写真を撮影しにくるお客様が二組。あと、結婚式の前撮り写真があるわよ」 百合子さんが1日の予定を教えてくれた。 初日はついていくのに必死だった。 この日は22:30から19:30までの勤務だった。アルバイトの時間はその日のスケジュールによって長かったり短かったりするようだ。これからは週に4日ほど入る予定になっている。とりあえず良い人ばかりの様だと安心して、和樹はこの日は泥のように眠った。

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