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残酷絵巻、はじまりはじまり・・・3

 俺は何であんなとこに行ってしまったんだろう。  普段だったら絶対に入らなかった。  学校をサボって映画を見に行った。  俺は高校生には見えないから、街を歩くのは問題なかった。  学校から家に連絡いっているのかと思うと、家に帰りたくなかったんだ。  そこで思い出したのは、仲間達が連れ込み場所にしているといった倉庫だった。  一度、そこを使ったこともある。  女の子二人を友達と一緒に連れ込んだ。  友達はオレの隣りで、女の子のパンツとスカートを脱がして、突っ込んでいた。  オレはガチガチに立ててはいたけど、優しく髪を撫でて、頬にキスして、胸を揉むくらいしかしなかった。     「オレはさ、やっぱりこういうとこで女の子抱くのはね」  オレは女の子にそう優しく囁いたし、堅くなっている モノを服の上から掴んで触らせたから、疑われてはいないと思う。  実は、オレは隣りで腰を振っている、友達の身体に欲情していたのだけれど。  剥き出しの男の尻を押し広げて、入れたいと渇望していた。  でも、オレは女の子に欲情してるのを我慢するフリをした。  おかげでオレの女の子達の中での評価はうなぎ登りになったのだった。  「大事にしてくれそう」  みたいな。   実のところ、ヤらせてくれるのなら誰でもいいとオレは思っていたのだが。  好みの男でありさえあれば。  好みの男の姿を思い浮かべて、毎晩オナニーしていた。  ただ、オレの欲望の対象が、若い男だってことだけは誰にも知られるわけにはいかなかった。  とにかくオレはその倉庫で夜まで寝ておこうかと思っただけで。  友達が女の子連れ込んでたら連れ込んでいたで、友達を見ればオレのオカズが増えるわけで。  ただ、夜遅く、親が寝てから帰ろうと思っただけだった。  だが、倉庫のドアを開けたオレが見たのは、身体に穴をあけられた死体になった男 一一あんなに身体から穴が開いていて、血が流れているのに死なないはずがない一一の脚を担いで、尻に自分のモノを突っ込んで、腰を打ちつけている男の姿だった。  恐怖よりも先に感じたのは欲望だった。  目を見開いたまま死んでいる死体は、生きていたらぜひともお願いしたくなるような、ちょっといい男だったし、何よりも、死体を犯しているその男は。  めちゃめちゃ好みだった。  つり目がちの目の綺麗な目も、どこか冷笑的な表情も、ものすごい好みだった。  こういう男を抱きたかった。  でも、実際近づけば、「ゲイかよ」とバカにして笑いそうな男。  夢の中や妄想の中でしか、犯したことのない男。  理想がそこにいた。   男は扉を開けたオレを見た。    ものすごく金のかかった男なのはわかった。  乱れた髪は、何万円もするサロンで整えられたものだろう。  着ている服の値段が半端ないことも、詳しくないオレにでもわかる。  それを平然と血で汚していた。  「マズいところを見られちゃったね」  男は笑った。  その笑顔は困ったね、といった感じで、冷たい感じの顔を柔らかくしていて。   オレはこんな状況なのにときめいたのだ。  そして、オレは見た。  男の手が指が溶けるように姿を変えて、銀色の銃になるのを。  手が銃に?  オレは何が起こったのかわからない。  男は笑顔で言った。  「見られちゃったら殺さないとね」  銃が静かな音をたてた。  何かエアーが抜けるような音だ。   でも、弾こそ見えなかったが、扉にどでかい穴が開いていた。  有り得ない。  何であんな小さな銃口からでる弾で、こんな大きな穴があくんだ?  しかも、ほとんど音がしないなんて。  オレはへたり込んだ。  男は笑った。  右手はもう、普通の手に戻っていた。   「ちょっと待ってて、イくから」  男は言って、死体の頬を優しく撫でた。  何故か胸がざわついた。  男は死体の中で射精した。  ぶるっと身体をふるわせる男の姿に俺はめまいがするほど欲情した。  「やっぱりイマイチだな。特に死体が好きなわけではないんだよね」  ぶつぶつつぶやきなから男は死体の穴から自分のものを引き出し、ズボンを上げてから、へたり込んでいるオレの元へきたのだった。  オレをしげしげと見つめて男は言ったのだ。   「選ばしてやる。ここで僕に殺されるか、それか僕専用の穴になるか」  それが俺とあの人の始まりだった。    

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