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殺人鬼3
さて、と。
僕はここから先どうやってここから出るか考えることにした。
「何も考えていなかったのかよ」
ガキが呆れたような声を出した。
「うるさいよ」
僕はガキの頬にキスしながら言った。
攫った若頭がまさか自宅の地下室で、自分の作った拷問用の梁に吊されているとは誰も思わないってのはいい考えだったけど。
何かあれは、事務所の方に組員が集まるのも知ってるからいいんだけど。
それでも何人か来ているはずだよな、そろそろ今頃、ここに。
連絡してこない若頭の安否確認に。
誰も殺さないでこの家を出ることは難しい。
若頭の皮を剥かれて、黙って帰すわけにもいかないよなぁ。向こうも。
メンツが大事な商売だから。
でも、僕は殺してもいい人数が月に決まっていて、それ以上に殺してしまうと お手当が減らされてしまう。
それは嫌だ。
僕は良い服や良い部屋に住める今の生活が気に入っているし、
前は殺す前から計画し、殺した後の後片付け、全部一人でしていたからな。
今は殺すだけで後は電話したら全て片付けてもらえるし。
無用な殺しは避けないとな。
別に堂々とガキと歩いて出て行ってもいいんだけど。
僕らを殺せるような人間などいないのだし。
でも撃たれたら痛いし、その後狙われたりの面倒は嫌だった。
仕方ない。
「ちょっと待ってて。すぐ戻ってくるから。この家のお風呂借りて帰ろう 。オマエの後始末もしてあげないと」
僕はガキに言った。
した後、ガキを風呂でその穴の中を綺麗にしてやるのは僕の楽しみの一つだ。
めちゃくちゃ嫌がったり、恥ずかしがるのが楽しくて仕方ない。
指で掻き出してやってるうちに結構盛り上がってしまって、またセックスしてしまったりするのが本当に楽しい。
「自分でするからいいし、それに待ってててて、俺をこの死体と一緒にいろってこと?」
ガキが嫌がる。
「死体はただの死体だよ。慣れてね。これから一週間に一度はこういうことがあるし、殺した後僕は凄くしたくなるから、僕はオマエを絶対に抱くし」
キュッと抱きしめたガキの身体が固まった。
「一週間に一回」
ガキが呟く。
身体が固いままだ。
コイツがコレ、殺人に慣れるまでは時間がかかりそうだな、セックスは簡単に慣れたのに。
僕はガキを置いて、地下室を出た。
ドアを細心の注意で音もなく開ける。
この家は昔仕事で訪れているから間取りは知っている。
音もなく歩く。
耳を澄ます。
リビングにテレビの音、二階で携帯の呼び出し音が聞こえる。
少なくとも二人。
僕は二階から行くことにした。
今日は通いの家政婦も休ませたようだ。
当然 か。
台所から外に出て、壁を登る。
わずかに指をかけれるところがあれば、僕は指一本で身体を支えられる。
日本家屋の二階など 、わけもない。
窓の外から様子を伺う。
やはり、一人だった。
若頭の部屋からどこかへ電話していた。
僕は右手を銃に変えて、窓を撃った。
窓は吹き飛んだ。
音はほとんどしない。
撃って砕けたはずのガラスや破片もない。
この仕組みがどうなっているのかは僕にもわからないが、この銃こそが今の僕の仕事「化け物殺し」の切り札だ。
今じゃ人殺しは趣味だ。
後は簡単。
背後から忍びより、電話での話が終わるのを待つ。
喉を掻き斬る代わりに後頭部を殴って意識を奪う。
そして、拘束バンドで手足を拘束しておく。
簡単。
殺す方がもっと簡単なんだけどね。
さて、もう一人、とおもった時。
銃声が聞こえた。
地下室からだ。
ガキが見つかったか。
僕は地下室へ走った。
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