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殺人鬼4
俺は目眩がしそうだった。
男の綺麗な背中が目の前にあった。
男は壁をつき、尻を俺に向けていた。
この光景だけで、イキそうになる。
でも、ダメだ。
俺はその尻を割開く代わりに男の太ももに俺のモノを挟み込んだ。
男が手でしてくれて、しかも男のモノとすりあわせたりとかしてくれたりして、それだけでもわけわかんないのに 、素股でもさせてくれるなんて。
「早くしろ、時間がない」
男が言った。
気が変わるのが怖いので、俺は動くことにした。
夢だ夢みたいだ。
僕は動きだす前に男を抱きしめた。
こんな風にこんな風に、この人を抱きたかった。
必死で動く。
素股でも気持ち良かった。
この人のモノが俺のモノとこすれて固くなっているのがわかった。俺は動きながら、この人のモノへ手を伸ばした。
「おい」
男が戸惑ったような声をしたけれど、夢中で弄りながら、腰を打ちつけた。
あの人のモノが立ち上がっていくから一応感じてくれているのはわかった。
嬉しかった。
思わず、首筋を噛んだ。
吐息のようなモノが抱いてる男から聞こえて歓喜した。
入れたい。
いつかこの人に入れたい。
きっともっと気持ちいい。
この人のモノが吐き出した感覚に合わせて、俺も吐き出した。
めちゃくちゃ、幸せだった。
思わず、首筋にキスしながら 、この人を抱きしめていた。
ため息がした。
男が振り返った。
醒めた目で言われた
「下手くそ」
額をデコピンされて、身体を離された。
「あんなただ必死でガンガン打ちつけられたら、本当に入れられてたら痛いだろ。セックス嫌いになる。絶対入れさせないからな」
酷いこと言われている。
「でも、オマエが僕に夢中なのは分かった。そういうのは、嫌いじゃない」
男が少し恥じらうように笑った。
しかも、キュッと抱き締められた。
え、何、コレ。
ドキドキした。
「でも、今回は特別だからな、オマエが【処女】 じゃなくなったお祝いだ」
男が言って、俺は思い出す。
そうだ、俺は人を。
血がべっとりとついた右目と、弾が抜けたはずの地が固まった後頭部に触れる。
「とにかく撤収するぞ」
男が言った。
男が殺した刺青男の家でシャワーを浴びて、俺が殺した男の血を流す。
そして、刺青男の趣味良い服を借りて着た。
こんな狂ったことがこれから続くのだと思うと、俺は。
俺はもう人さえ殺していて。
「行くよ」
男に言われて、殺した刺青男の車に乗って、俺はこの家を出て行った。
コレがこれからの俺の日常なのか。
現実感などなく。
ただ 、抱きしめた男の感触だけが残っていた。
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