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殺人鬼5
俺は飛び出した。
走る。
行ける。
あそこに着きさえすれば。
届くと思った瞬間、俺の心臓か撃ち抜かれた。
激痛。
心臓が止まる。
そして、額にも銃弾がめり込むのが分かった。
脳が削られ弾が頭蓋骨をぬける
俺は地面に倒れ、痙攣した。
ここから回復するには、10分程少しかかった。
「ダメだな。首をハネられ殺される。これじゃ」
男が銃を片手に言った。
本物の銃だ。
男の「銃」で撃たれたならば再生しないらしいので。
撃ったモノのその部分がどこかへ消えてしまうからだ。
それがどこへ消えたのかは誰にも説明出来ないらしい。
俺はゆっくり起き上がる。
何故、訓練なのに本当に撃つのだろう。
ここは納得いかない。
毎回俺は死ぬまでの苦痛を味わっているわけで。
今は、銃を持った人間にどう近づくかの訓練を男から受けている。
障害物を利用しながら、目標に近付き撃つ練習だったのだが、撃たれただけだった。
「オマエが使えた方が色々やりやすい」
男は刺青男の殺人の後で俺に言った。
「オマエが【捕食者】と直接やりあうのは無理だ。でも、オマエが使えるようになれば、色々やり方が広がる」
そういうことらしい。
どう俺を使うつもりなのか分からないし、何より【捕食者】を男以外知らないのだ俺は。
「でも、オマエ速いな。確かに俺が相手じゃなければ行けた、 『かも』しれない、でもそれではダメだ。もっと確実に行かないと」
男は人を殺している時でさえ、どこがいいかげんなのに、この訓練ではひどくマジメだった。
なので、俺も真面目にやらざるを得ない。
「オマエ、何か訓練受けていたな、脚の速さもそうだが、訓練されるのに慣れている」
男がいった。
訓練ってわけではないけど。
「中学の時、陸上の選手だった。速かったんたぜ、優勝するかもって言われた。パーソナルコーチもついてた」
「なんで辞めた?」
男が聞く。
「膝を壊して」
俺は答えた。
日常生活にはそれほど問題はないが、選手は二度とムリな身体になった。
そこから面白くなくなって、親とも上手くいかなくなって、その結果、学校サボリ始めて、殺人鬼に捕まった。
あれ、でも 、俺 。
走ってたよな。
今。
「良かったな、不死身になったから、膝も治った。何にしろ、身体能力は高そうだな」
良かったのだろうか。
しかしこの訓練場は一体・・・。
目隠しをして連れてこられて、広いし、銃を撃ちまくってもいいって・・・。
「国の特殊工作員達のための場所だ。一応僕も特殊工作員ってことになってる」
男は言った。
「いや、オマエいいよ。悪くない 。・・・で、さぁ」
不意に男がいやらしく笑った。
手が伸びて来る。
抱きしめられた。
「オマエ撃ったら勃っちゃった」
ゴリゴリと固くなったものを、服の上から俺のモノへ押し付ける。
「ここで、すんの?」
俺も息を荒げる。
「今日は誰もいないよ」
男が耳元で囁いた。
それで十分だった。
唇を重ね合い、舌を絡め合いながら相手のズボンをおろしあう。
さすがに地面の上は嫌なので、立ったままする。
互いに相手のモノをこすりあう。
俺は男の手に翻弄されそうになるが、必死で男のモノをしごく。
「ちょっとは上手くなったじゃないか」
男が囁く。
上気した色っぽい顔で囁かれたら、俺はその言葉だけでイキそうになる。
最初は「オマエは穴」とまったく俺のココには触れてくれなかったし、俺にこういう風に触れさせてくれなかった男が、最近はこうさせてくれるのは正直嬉しい。
俺のモノと男のモノを合わせて、二人で一緒に扱いた。
顔を見合わせて笑った。
俺は、男の首筋にキスを落とす。
男も俺の首筋に歯をたてた。
「オマエの撃たれる時の顔 、クる」
男が囁く。
「オマエが【貫かれる】時の顔ってスゴイ、いい」
それは、ほめ言葉なのだろうか。
俺は苦笑した。
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