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殺人鬼7

 「なんで、そんな顔するのかな」  優しい声で、男は言った。  俺の頬を撫でる。  「そんな顔って・・・」  俺は自分がどんな顔しているのか、分からない。  「僕に夢中だって顔。なのに、なんか不安そうな」  男が笑った。  ほぼ間違っていないので、俺は真っ赤になる。  「可愛いね、ホント」   男は俺を抱きしめた。  「いくらでも勃つな、そんな顔されたら」  確かに、さっき俺の口の中に出したのに、また男のモノは立ち上がっていた。  「ホントはベッドで優しく抱いてやりたいんだけど。後ろを向いて」  俺はおとなしく、地面に四つん這いになる。  男が俺の中に入ってくる。     撫でられる髪。  俺は想像する。  俺がこの人の髪をなでながら、この人の中に入ることを。  「なんか良くないこと考えてるな」  男が笑う。  なぜ、解るんだろう。  「あんたに夢中なんだ」  俺は認める。  この人に入れたいでも、今はこの人を中で味わう。  「・・・」  男が何か言いかけてやめた。  ただ 、指先の熱さが優しさが、背中に落とされた唇の甘さが、何かを俺に伝えていた。  この人も 俺のことが好きなのかもしれない。  俺は。  俺は。  この人が人を殺す時、どうすればいいんだろうか。  その考えを振り払うために俺は目を閉じて、男の与える快楽に身を任せた。   男は優しくて、セックスは気持ちよかった。

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