33 / 76

怪力惨殺5

 男が性的に興奮しているのは解った。  股間が異様に膨らんでいたからだ。  無視出来ないくらい巨大に。  逃げなきゃ、と思った。  でも、身体が動かなくて。  男は地面に首を置いた。  顔も性別も思い出せないのに、その口から腕を生やした首が、地面から哀れっぽく男を見上げていたのは覚えている。  それを男は思い切り殴りつけた。    首が消えた。  そう、消えたのだ。  男は胴体、腕、と地面に散らばったそれらを殴りつけた。  そのたびに、それらは消えた。  死体は血の跡だけをのこして消え去った。  なんで・・・。  ボクは自分か夢を見ているのだと思った。  そうか、夢か。  そうか。  だから男がふりむいてもボクは呆けていた。  男の目がボクを見て、僅かに見開かれた。    ゆっくりと男が近づいてきた。    スーツもズボンもシャツも、  血まみれで。  顔や手も、血に汚れていて。  鬼のようだった。  ボクはやっと、我に返った。  よろよろと立ち上がり、走ろうとした。  男に腕を掴まれた。  ばきっ  音がした。  男に掴まれた腕が有り得ない方向に曲がっていた。  ボクは悲鳴をあげたが、男に口を塞がれた。必死その手を振り払おうとしたらもう片方の腕も折られた。  ボクは男に口の中に指を入れられ、苦痛の叫びさえあげることができなかった。  口の中の大きな男の指は、血の味がした。   「・・・なんで」  そう男がつぶやいたような気がした。 それでも逃げようとしたボクの脚がおられた。  ボクは地面の上に投げ出された。  ボクは、口の中に指を入れられたまま、男にのしかかられていた。  ボクは、それでも逃げようとした。  ボクは助けを求めて、視線を彷徨わせた。  無表情にボクを見下ろす、男のグレーの瞳だけしか見えなかった。  無表情?  いや、ボクは怯えた。  その瞳の奥にあるものに。  男は欲情していた。  このボクに。  男の股間のモノが、腹に当たっていた。  男の目がボクをじっと見ていた。  欲情じゃないとしたならば、これはボクを食べるつもりの目だ。  飢えた目だった。  男は唸った。  紙でも破くかのようにジーンズが破かれた。  上着も下着も、全て取り除かれた。  男は簡単に引き裂いた。  剥き出しになったボクの身体を男は裏返した。  男がチャックを下ろす音に恐怖した。   ボクは振り返った。  振り返ってそれを見てしまった。  男の股間のそれは、凶悪な程大きく、そそり立っていた。  ボクは恐怖した。  男がどうするのかはわかっていたからだ。  こんなの無理だ。    絶対に無理だ。  串刺しになるようなものだ。  ボクはのた打つようにして、逃げようとした。  男は唸った。  腰を掴まえられた。  押し当てられ、強引に突っ込まれた。  焼けた鉄の棒を押し込まれるようだった。   劇痛が走った。  悲鳴はすぐ、手て塞がれた。  引き裂かれているのが解った。  血が流れているのも解った。  男は唸りながら、腰を打ちつけてきた。  ボクは痙攣した。    快楽じゃない。   本当に引き裂かれていたのだ。  何の経験もないそこは、男の巨大なモノを受け入れることなどできなかった。  男が強く握りしめた太ももは砕けていたし、男が力をいれた肋骨も折れていた。  悲鳴すらあげられない苦痛。  それでも、男はボクを貪り続けた。  叫び声が聞こえた。   吠えながら男がボクを犯しているのだ。  血を吐き、人形のようになすかままになったボクを男は叫びながら犯し続けた。  ボクは死んだ。  死んだと思っていた。  

ともだちにシェアしよう!