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情交哀夜1

 ボクはどうしてこうなっているのかわからない。  ずっと手荒く抱かれてきたのに。  どうして、男は。  こんな風に。  男の指は荒いけれど、でも精一杯の優しさで動く。  ちゃんとローションで濡らさせた穴の中で指を動かされるのは楽だった。  ボクは男の身体の上に乗せられていた。  男は片手でボクの髪を撫でながら、ボクの穴を指で弄っていた。   ボクは吐息をこぼす。   苦痛とは違い、柔らかな快感のようなものが生まれているのはありがたい。  もう、ボクは諦めている。  ボクはこの男に抱かれ続けるしかなく。     逃げるために死ぬことさえ出来ないのだ。  だから、男が苦痛ではない抱き方をしてくれるのなら、それはありがたかった。  何故男が、このボクに執着するのかはわからなかったけれど。  ボクは酷くしてしまっても死なないから?  それくらいしか、思い当たらない。 でも、男は今、酷くすることも止めていた。  男はどこかを探すように穴のなかで指を動かしていた。  そこをこすられた。  ビクン。  ボクの身体が震えた。  何、コレ。  男がつぶやいた。   「ここ、か」   男の指がそこをこすり始めた。 何、コレ。 何??? ボクはワケがわからなくなって叫んだ。  「気持ちいいか?」  男が尋ねた。  何故か嬉しそうに見えた。  「わから、ない、ああ!」  ボクはまたこすられて、身体を震わせ、叫んだ。  何、コレ。  こんなの知らない。     ボクのモノが触ってもいないのに立ち上がっていた。  何が起こったんだろ。  ボクは何が自分の身体におこったのかわからなかった。  大体ボクは、女の子とも最後まではしたことなかったのに。  セックス自体良く知らないまま、男に抱かれてきたのに。  男の指が執拗にそこをこすった。  「ああ、ダメ、出る」  ボクは呻いた。  そこに触っていないのに、ボクは射精した。  精液が男の腹にひろがった。  「・・・気持ち良かったな?」  男の深い低い声が響く。  男がボクの顎をつかんで覗き込みながら言った。  ボクは顔を背けようとするが、許してもらえない。  「 うん」  ボクは頷いた。  顔を赤くしながら。  男は少し嬉しそうに笑った。  笑うと、顔の印象がガラリと変わる。   笑うこの男からは、残酷さはない。    最近、男は愛撫してから、入れるようになった。  ちゃんと、高められてから入れられれば、男のモノを受け入れられるようになった今では、苦痛はない。  むしろ、認めたくないけれど、何か違う感触もしてきている。  だんだん男がボクの身体を覚えてきて。  穴だけでイカされてしまったし。  コレはコレで怖い。  

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