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従属者2

 公園を出たところで、俺は背後から抱きしめられた。  あの人なのは分かっていた。  不機嫌この上ない。 ギリギリ歯噛みまでしてる。  「アンタが彼と接触しろって言ったんじゃないか」  俺の言葉を無視して、男は車の中に俺を押し込む。  乱暴にドアが閉められ、車が急発進した。  あ、コレは手酷くヤられるパターンだ。  「確かに可愛いと思ったし、手も握ったけれど・・・」  俺は言い訳する。 ちょっと思うだけならいいじゃないか。  「・・・アレが本音か、オマエの。そんなに逃げたいか 、僕から」    男が低い声で呟く。  どうやら、あの彼に話していた内容に怒っているらしい。俺と彼は同じ立場だから。  「アレは・・・」  俺は困る。  確かに本音もあったからだ。   彼に言った言葉は、全部俺にも言えることだったからだ。  車が止まった。  人気のない場所だ。  ここで、ヤるつもりだ。  この男は時々本当に面倒くさい。   抱き寄せられても俺は逆らわなかった。  乱暴に後部座席に連れていかれた。  「観念してるってワケ?」   男が薄く笑った。  「それとも期待してるのか?」  男が俺の股関を強く握りしめた。  痛みに呻く。  「・・・何言ってもアンタはダメだろ」  俺は言う。   男は複雑な顔をした。   泣いてるような怒っているのか、笑っているのか。  乱暴に服を剥かれる。  「痛いの嫌だろ、突っ込む前に舐めろ、ローション代わりだ」  男のモノを咥えさせられた。  嫌じゃない。  男が感じている姿を見るのが好きだ。  この人に余裕を無くなるほど感じさせたい。 無心で舐めた。  男は俺の髪を撫でる。  吐息を漏らす顔が好きだ。    咥えて唇で扱く。  先端を穴を舐めあげれば、男は声を漏らす。   色っぽい。  育ちきったそれを、指も使って扱く。    「  」  男が俺の髪をなでながら囁いた。    俺は動揺した。  今、なんて。  「  」  それは俺の名前だった。  一度だって俺の名前呼んだことなかったくせに。  「ガキ」としか呼ばれなかったのに。  しかも、そんな泣きそうな怒ってるのか、不安なのかわからない顔で。  男が俺の頭を押さえつけた。    喉の奥に男のモノが突き刺さる。  俺は苦しくてムせる。  「  」  男は俺の喉に自分のものを叩きつけながら、俺の名前を叫んだ。  そんなの、反則じゃないか。      俺は吐き出されたものを飲み込みながら、泣きそうになった。  俺をだきしめて、後ろの俺の穴を弄りながら、また男は俺の名前を呼んだ。  それだけで、本当にそれだけで、俺はイった。  名前を呼ばれただけで。  俺は声をあげてイった。  俺のモノは白濁を吹き出した。  また、耳元で名前を呼ばれる。  それが指の刺激を増大させ、俺は背中をそらせた。怖いくらい感じていた。  「分かったよ。分かった・・・」  男がため息をつきながら、それでも幸せそうに言った。  「オマエは俺に夢中だ」  首筋を甘く噛まれた。    「ああ、だ、から、ずっ・・とそう、言って・・る」  俺は男にすがりつきながら言う。    男について思わないことがないわけではない。  むしろ受け入れられないことがあまりにも多い。  俺の意志でどうにもならないことも。  でも。  この人に夢中だ。  理屈じゃないそれだけが本当。  もう、指ではもの足りない。  「入れて」  おれはせがむ。  男は愛しげに微笑む。  「やっぱり、オマエ可愛いな」  唇にキスされた。  「それに・・は同意、出来ない」  俺は言っておく。   「はいはい、オマエは僕を抱きたいんだよな」  もうすっかり機嫌がよくなった男が、後部座席に俺を押し倒した。  後ろ向きにされて、背後からゆっくりと入ってくる。  ハァ   俺は喘ぐ。  男のモノが好きだ。    身体がカタチを覚えている。  こすられた。  声をあげる。   いい。  すごくいい。  「こんなにされて、ここでこんなに感じるくせに、僕を抱きたいくらい僕が好きなんだよな」  男が腰を回した。  そんな風にされるのも俺は好きで。  「僕、ここでこうするのが好きだけど、オマエも好きだよね」  そこをそうこすられたら、俺は頭がおかしくなる。  「おかしくなる、おかしくなる」  俺は譫言みたいに繰り返す。  「おかしくなって。僕に夢中なんだってこと以外忘れて」  男はそしてまた呼んだ。  「  」  俺の名前を。  俺の理性が切れた。  名前を呼ばれただけで。  俺は夢中になって腰を自分から振って男を求めた。  もっと、もっと  俺は叫んだ。  与えられた。    中で出して、  そうねだられたら、中に熱いものが爆ぜられた。  乳首を吸ってとねだれば、たっぷりと吸われ、噛まれた。  「名前、よんで」  俺は男すがりつきなからせがむ。   「   」  男がまた俺の名前を呼んだ。  反則だ。  反則だ。    その声だけで、俺は射精した。  「もうちょっと、可愛すぎる」  男がかすれた声で言った。  「こんなんで、僕を抱くって?すっげーメスだよ、オマエ」  男は俺の奥を犯しながら、言った。  肩に脚を担がれ入れられていた。  後部座席ではこの姿勢はキツイけれど、もうどうでも良かった。  「こんな奥で僕のもん吸いつかせときながら、オマエ何言ってんの」  男が愛しげに囁く。  「ヤダ、絶対・・抱く」  俺はわめいた。  ここだけは譲れない。   「ああ、そうだなそうだな。いつか僕をその気にさせてみろ」  男が愛しげに俺の頬や髪に唇を落とした。  また名前を呼ばれて、俺は射精した。  簡単にイくのが恥ずかしかった。  「可愛い、本当に可愛い・・・」  男がうっとりと囁いた。  腰をねっとりと動かされる。  俺はそのいやらしさに涙を流す。  俺も男の名前を呼びたかった。  でも、男には名前がなかった。  だから俺は男の名前の代わりに 、囁いた。    囁いてしまった。  「好き」   男がまた複雑な顔をした。  泣いてるのか、笑っているのか。  涙が落ちた気がした。  でもそれは一瞬で、俺は男にそこからひたすら貪られた。  「  」  何度も何度も名前をよばれながら。  それは甘く淫らな夢みたいだった。        

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