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生存権1
「うわぁ、良くこんなえげつないこと考えられたな」
ガキが顔をしかめた。
お家で作戦会議中だ。
えげつないは誉め言葉だ。
僕は気にも止めない。
「ここまでする必要あんの?あんた強いんだろ」
ガキは不思議そうに言う。
「相手も僕を殺せる可能性がある以上は、少しでもその確率を下げる。もちろん僕が狂犬より強いことは間違いない」
僕はやはりこの辺はお子様なガキに説明してやる。
お仕事だし、一つしかない命を賭ける奴はバカだ。
ガキも僕といる以上はプロになってもらわなければならない。
この辺も仕込んでいかないとな。
「相手は殴ったものを消す能力だろ。近づかなきゃいい、あんたの手の銃で撃ったら終わりだろ」
ガキの質問は尤もだ。
「そんな簡単じゃないんだよ。捕食者同士になると」
僕はため息をついた。
僕の能力 は右手を武器に変えれる。
そして、僕の手を変形させた銃で撃ったものは直系50cm球状の穴があく。
そして、その穴の部分はどこかへ消えている。
そういう能力だ。
消えたら再生できないので捕食者を殺すには適した能力だ。
だが、実は捕食者の中では地味で低い能力だ。
僕が殺しのプロであることでそれを補っているだけだ。
狂犬の能力は、怪力と一一元々怪力ではあっただろうけど、今は人間のソレを超えている一一、思い切り殴りつけたモノを消せる能力。
僕の能力と似ている。
ただ、狂犬の方が消せる範囲が広い。
そうだな、僕の身体半分は消せる。
「頭撃ったら終わりだろ、こそっと隠れて、狙い撃ちしたらいいのに」
ガキが言う。
「捕食者は頭がなくなっても死ぬとは限らない。それにそれ程の飛距離もない。そして、僕の銃は連発じゃない」
捕食者の中には頭が無くなっても動き続けるヤツもいる。
「狂犬は連打できる。二回殴られたら僕は消える」
尤も僕が使うのは、僕の能力だけではない。
僕の最大の武器はこの頭だ。
それに、あの狂犬は銃で撃ったくらいでは止めれるとも思えない。
狂犬は素人じゃない。
格闘技の訓練をキチンとうけている。
掴まれる距離になれば僕に勝ち目はない。
だから、使える手段は全て使う。
「わあ、やっぱりアンタ、ダークサイドの人間だわ」
ガキが引いていた。
なにを。
「人間の基準で言えば、僕の方が正義の味方なんだぞ」
一応言っておく。
さて、これが上手く行くといいが。
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