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生存権5

 「あ、そこ・・弄ったら、ダメ」  彼が喘ぐ。  「うそつき。入れられながら、乳首弄られるの大好きなクセに」  愛しげに男が囁く。  男の息も、荒い。  ボクは目を閉じて、耳を塞ぐ。 なんか気が付いたら始まってた。 あの彼と、恐ろしい綺麗な男が、始めてた。  どうしよう。  でも、すっかり毎晩、あの人に抱かれていた身体は、彼がされていることをしっかり理解している。 そして、勝手に興奮してしまう。  ボクもあの人に、ああされたから。  あの人は、ボクを上に乗せるのが好きで。  ボクがあの人に潰れないようにという思いやりから、そして、ボクの理性がぐちゃぐちゃになって、自分から動き出すのが本当に好きで、あんな風に座ったまま、あの人にあんな風によく抱かれた。  自分の体重で、本当にデカいアレに串刺しにされる感覚は恐怖と紙一重の感覚で。 ボクは自分から自分を貫くことを楽しんだのだった。  どうしよう。  どうしよう。 思い出したら、勃起してしまってる。  あの人は、この人達に殺される。  それを考えたら、胸の奥が苦しくなる。  わかっている。  あの人もこの男がボクを殺そうとしたくらい気軽に人を殺す。  そして、それを楽しむ。  優しいのはボクにだけだ、ってこと。  ボクといるときは、優しくて、笑ってて、だからつい普通の人みたいに思っても、あの人は初めてあったあの時の獣みたいに叫びながら人を殺す、それがあの人の本当の姿で。  でも、でも。  思ってしまう。  なぜ、この男は生きていても良くて、ボクの、ボクのあの人は死ななければならないモノなのか。  ボクは聞こえてくる声に煽られるように、 あの人のことを考えることから逃げるように、 指を立ち上がったモノと、後ろの穴に手を伸ばした。  弄る。  喘ぐ。  足りない。  こんなのでは足りない。  あの人がいい。  あの人が欲しい。  ボクは物足りなさに身体をよじった。  その時、スゴイ衝撃音がした。  車の天井が凹んだ。  次の瞬間、車の天井が消えていた。  そこには天井の代わりに悪鬼のような顔をしたあの人がいた。      
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