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生存権9

 目が覚めるなり、抱きしめられた。  ボクは待っていたかのように 、喰らわれる。  見たことのない部屋で、たぶんホテルだと思った。  もう、裸にされていて、この人がボクが目覚めるのを今か今かと、待っていたのがわかった。  「シてもいいか?」  もう乳首を舐めているくせに、深い低く声が聞く。  ボクはおかしくなって笑った。  あの人も笑った。  「う・・・ん」  ボクは喘ぎながら頷く。  ただ、この人に指で乳首を摘ままれた時、あの男にそうされたことを思い出し、震えた。  快感ではなく、恐怖感で。  あの人の指や舌がピタリと止まった  「・・・なんかされたのか」  あの人がボクの顔を挟み込んで言う。  嘘つくことは許さないって顔だ。  「オレらが攫う時は、犯すか、指を折るかする 。怖がらせたら言うことを聞くから。オレは触りたくないから折ってた」  真剣な顔だ。  ・・・たぶん、あの男の人がボクにそうしたのもそういう意味があったんだと悟る。  あの少年がいなければ、指くらいは斬られていた。  なんて答えればいいんだろう。  「何された」  男の顔が怖い。  僕を取り戻しに来た時のあの悪鬼の顔ほどではないけど、怖い。  「胸を少し触られただけ」  ボクは正直に答えた。   男は唸った。  胸に、乳首に、男はむしゃぶりついた。  吸われながら噛まれた。  声が出た  男は狂ったようにそこを弄る。  「オレのなのに」  噛まれ、舐められ、吸われ。  指で押しつぶしされて、弾かれ。  「そ・・こ、ばっかり、いや・・・」  ボクは泣く。  それでも、もうボクはそこだけでイける身体に、されてしまっていて。  そこだけで何度もイカされた。  「他の男の指なんか、忘れろ」  男が怒ったように言う。  「他には、触られたところは」  もう正気じゃないボクは答える。  「首舐めら・・れた」  首を強く噛まれた。   血が滲むほど。  でも、それでさえ気持ちいい。    でも、欲しいのはコレじゃない。  コレじゃない。  乳首を弄られるのも気持ちいいけどコレじゃない。  男と少年がしてるのを聞いていた時ボクは思い知らされたことがあった。  ボクは。  ボクは。  「お願い、入れて、あなたの大きいのが欲しい」  ボクは恥ずかしいことをせがんでいた。  あんなに怖くて、嫌だったこの人のモノが欲しくてたまらない。  そんな淫らな身体にボクはもうなっていた。  「大きいの、入れて・・・」  ボクは男のそこを握る。  脈打つそれをこすりあげる  ああ、大きい。  コレを入れて欲しい。  男はびっくりしたように止まっていた。  ボクがそんなこと言ったことなかったし、男は優しくて、そんなことを言わせるような抱き方はしてこなかったからだ。  巨大なそれがさらに大きくなった。   「そんな・・こと言ったら、お前をオレどうするかわからなくなるぞ」    男が怯えたように言う。  必死でこらえてる。  ボクは自分の穴を必死で解す。  早く入れて欲しくて。  喘ぎ、感じるけれど、指じゃ足りない。  それより入れてほしくて仕方ない。  男がそれを見て震えていた。  耐えているのだ。  「入れ・・て」  ボクは叫んだ。  男は唸りながらボクの両脚を広げ、それを入れていった。  さすがに入れる時だけはゆっくりと。  大きい。  どこまでも入ってくる。  男でボクの身体がいっぱいになる。  コレが欲しかった。  欲しかったんた。  入ってしまった瞬間、男は狂ったように腰を叩きつけた。    拷問のような快楽が始まった。  限界まで押し広げられたそこを、擦られるのが良かった。  奥を串刺しにされるかのように突かれるのに歓喜した。  「あ、いい。大きいの、好き」  ボクは涎を、たらしながら叫んでいた。  「お前、殺しちまうから、あまり煽るな」  男が呻く。  確かにボクは一度殺されている。  ガンガン突かれる。  喉の奥から、笛のような呼気しか出ない。  苦痛と紙一重の快楽。  何度もボクのモノは精液を吐き出す。   中で爆ぜられ、出されたことが分かる。  「もっと・・・もっと頂戴」  ボクはせがむ。  あの人の顔を探し、すがりつきながらキスをする。     「お前、どうしちゃったんだ」  男がキスの合間に囁く。  ボクの中で入れられたままのこそが、また固くなってきていた。    ボクは分かっている。  罪悪感だ。  ボクはこの人から逃げて、この人を殺そうとした人達のところへ行った。  ボクが自分から選んだ。  だから、もう、この人に抱き殺されてしまいたい。   この人に抱き殺されるなら、もういい。  ボク達は首を切り落とされない限り死なないのだと。  じゃあ、この人にめちゃくちゃにされて、首を千切られたらいい。  カマキリみたいに。  「ボク、ボクは・・・」  ボクはこの人に言おうとした。   ボクが自分からあの人達のところへ行ったことを。  あの人は自分の指をボクの口に入れて口の中をかき混ぜて、ボクに何も言わせなかった。  「分かってんだ。お前を離してやるのが一番いいって」  指すら気持ち良くてボクはその指を舐め、しゃぶる。  「でも、離してやれない。離さない。お前の意志さえ関係ない。だから・・・いいんだ」  男の目は優しかった。  ボクは繋がったまま上に乗せられた。  ボクは僕の中で育っていくそれを、自分から腰を動かし味わった。  中から広げられていく。  深く深く、犯されていく。    男は食い入るように乱れるボクを見ていた、だけ ど我慢出来なくなったのか下から突き上げはじめた。  「好き」  ボクは叫ぶ。  男の顔が歪む。  顔を引き寄せられ、唇を塞がれる。  「オレもだ。オレ・・も」  男は叫んだ。  ひっくり返され、ボクは背後から、激しく突かれた。  あばら骨が何本か折れたかもしれない。  掴まれた脚が折れていたかもしれない。  でも、でも。  苦痛すら快楽だった。    

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