57 / 76
捕食者狩り1
「 あれだけ大勢を殺しているのに見逃すしかないんですか」
部下が嘆く。
捕食者が現れてまだ数年。
誰もまだこの現実に慣れていない。
私もそうだ。
狂犬と青年はが建物から出て行くのを私達は確認する。
「とりあえず、今はこれ以上は殺さないようだし、みまもるしかないだろう。我々ではどうしようもできない」
あの男が言うのだから「想定以上」だと。
青年を前にして笑っている姿は、巨大な身体ではあっても、優しげに見えた。
「こちらから見えている時は、相手からも見えている」
彼からの忠告は受けているが、こちらの監視には無反応だ。
我々人間などどうでも良い、ってことか。
狂犬は間違いなく、男と少年を殺しに行く。
どうやって男達をみつけるつもりなのだろうか。
そして、男はどうやってあの狂犬を殺すつもりなのだろうか。
まあ、言われたモノは用意して渡ししたが。
どう使うつもりなのかはわからない。
さて、どうするんだ?
あの男のずるさにかけるしかない。
ともだちにシェアしよう!