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捕食者狩り5

 ・・・しくった。  僕は落ち込む。  ガキを怒らせてしまった。   おい、待て。なんだよ、この落ち込み方は。  なんで、僕が落ち込んでるんだ。  これじゃ浮気した後後悔する浮気男じゃないか。  「着替えたぜ、で、どうするんだ」  ガキが無表情に言う。  まるで何もなかったかのように、いつもの無愛想だ。  「・・・この先にある工場現場に向かおうと思う。あそこなら暗いし、アイツの目も利かない」  「ふうん」  ガキは頷く。  「先まわりして準備するんだろ、行こう」  ガキはいつも通りだ。  逆にそれがヤバいと思う。  ガキはすぐ怒るようになったし、平気で僕を殴るようにさえなったし、笑うし、泣くし・・・。  この無表情はヤバい。   これは。  これは。  僕は謝った方がいいのだろうか。  いや、なんで、この僕が謝らないと・・・。  なんで 、こんなに焦ってるんだ、この僕が。  こんなガキに。  いくら気に入っているとはいえ・・ ・。  「ごめん」  抱き寄せて謝っていた。  「怒るな」  髪を撫でる。  「ごめん。ごめんね。お前以外とキスするなんて」  謝る。  とにかく謝る。  「怒るよ」  ガキは言った。  僕を睨みつける。  無表情よりはこっちがいい。  全然いい。  「どうせ、嫉妬とかだろ。俺が彼を気にしていたり、彼を元の世界に戻したいとか思ってることへの腹いせだろ。俺が怒ると思ってしたけど、後で反省して黙ってたんだろ。そういうとこ、わかりやすいんだよ」  ガキの言葉は全部当たっていたので、何も言わない。  ただ、抱きしめて謝る。  もう、ひたすら謝る。  「・・・ごめんなさい。ごめんね、ごめんね」  「あんた、何がそんなに不安で嫉妬するんだよ」  ガキが怒っている。  僕に怒っている。  僕が好きだから怒っている。  それが嬉しくて、笑いそうになるのをこらえる。  笑ったら最後許してもらえない。  「俺は確かにあんたのしてることが受け入れられない。あんた考え方がとことん悪者だし、快楽殺人するし。俺はあんたの側には絶対にいけない。俺は人間でいたい。でも、あんた、それでも、俺の為に【悪者】しか殺さないことにしてくれたんだろ、【仮にも】正義の味方でいてくれるんだろ・・・」  ガキも自分から僕を抱きしめる。  「こんなのごまかしだって、言い訳だってわかってる。でも、俺だって、目を瞑ろうって。あんたはいつだって俺に選ばせてくれた。俺は選んであんたの側にいるんだし、俺はあんたを抱きたいし。何言ってをのかもう、分かんねーよ。でも、あんたが仮にでも人間の味方で有る限りは、俺、あんたといるって決めたんだ。腹くくってんだよ、コッチは!なのにあんたは・・・」  何、この熱烈な告白。  なんで、今こんなこと言うの。  「うわぁ 、今抱かせてやってもいいかと思った」   僕は本気で言った。  ガキは真っ赤になった。 うつむいたりしてめちゃくちゃ可愛い。  「その前に抱き潰したいけど、でも、時間がないなぁ・・・」  僕はため息ついた。   「ごめん。本当にごめん。・・・分かったよ。じゃあ行こうか」  キスをする。  可愛いガキ。  僕、「正義の味方」でいい。  くだらないから、いつやめてもいいと思っていたけど。  コイツが望むならソレになっててもいい。  「   」  僕はガキの名前を呼ぶ。  ガキはさらに赤くなる。   「悪者退治に行くぞ」  「あんたが一番悪者なんだけどね、ホントは」  ガキが言った。  まあ、それは確かに間違いない。  

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