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捕食者狩り8
俺は右腕を失い、叫ぶ男からあわてて離れた。
貫かれていた左腕から身体を抜いた。
「ああっ」
抜く時、俺は喘いだ。
やっと脚が治っていた。
千切られた左腕は咥えて走る。
あの人の背後に逃げる。
カッコ悪いけど仕方ない。
砕かれた右腕は、少なくともくっつきつつある。
あの人が千切られた腕を元の場所にあててくれた。
俺の腕と胴体の断面は触手のように蠢き絡みくっつき始める。
あの人は右手を銃に変えていた。
これで狂犬を撃ったのだ。
「遅い。遅すぎる!!しかも、頭を吹き飛ばすんじゃなかったのか」
俺は抗議する。
「なかなか、隙がなくてね~。お前に跨がった位でさすがに隙が出来た。頭狙わなかったのは、頭なくなったからといって攻撃が止まるとは限らないから。・・・それと何より、ヤられるお前って、最高にエロいから思わず見惚れちゃった、 僕勃っちゃったよ」
男がうっとりと言った。
この変態。
俺がヤられるのも楽しんでたのかよ。
「ぶっといのをぶち込まれるお前はエロい・・・」
俺にあの人はキスをした。
相変わらず最低だこういうとこ。
「でもな、コイツにぶち込んでいいのは僕だけなんだよ、わかる?」
あの人は狂犬に言った。
狂犬の右手の肘から先がすっぱりとなくなっていた。
断面から血が吹き出していたが 、すぐに止まった。
断面に皮膚が形成されたのだ。
捕食者達は俺より回復が速い。
ただ、コイツの右手は二度と回復しない、あの人の右手を変化させて銃で撃ったモノはこの世界から消えてしまうからだ。
「右手奪った位で、勝てるとも思えないんだけど」
俺は心から言った。
「まあね。しかも僕の銃が次に撃てるまでには10分ほどかかる」
あの人も狂犬に聞こえないようにつぶやいた。
「じゃあどうすんの」
俺は泣きそうになる。
腹の穴がまだ痛い。
「その腹の穴、エロいなぁ。そこに突っ込んでかき回してやりたい」
こんな時にこの人が変態を発動させていた。
ガチだ。
本気でここに突っ込みたいと思ってやがる。
「他の男が作った穴なのがアレだが、それはそれで・・・」
ぶつぶつ言い始めた。
引く。
めちゃくちゃ引く。
この人どこまで変態なんだろう。
俺はやっと狂犬の身体の下から逃げれたのに、また狂犬は近付いてきていた。
しかもさらに怒って。
「こちらに気を取られすぎじゃない?」
あの人が笑った。
狂犬がハッとしたように振り返った。
狂犬は絶対に近くにあの子を連れている。
まさかこの人は、俺がヤられている隙に・・・。
あの子は無事だった。
俺達の騒ぎがわからないかのように。
ぼんやりと立っている。
まるで意志かないかのような表情に俺は不安になった。
狂犬はあの子に何をしたんだ?
狂犬はあの子だけは傷つけないはずなのに。
狂犬があの子の無事を確認して、ホッとした顔をした。
すると同時にあの人が右手を変化させた銃ではなく、左手にいつの間にか握られた本物の銃であの子の頭をぶち抜いた。
あの子の頭が何度ものけぞった。
ゆっくりとあの子が倒れる。
狂犬が叫んであの子に覆い被さる。
「退却するぞ」
あの人が俺に囁いた。
俺達は階段を上がって上に逃げる。
クレーン車を投げられ、一部崩れたが、各フロアにある2つあるうちの階段の片方が潰れただけだから、まだ上がれる。
「殺さないって約束した」
俺はあの人に抗議する。
「頭撃たれた位で死なないだろ、お前も!」
あの人が答える。
まあ、確かに。
頭をつぶすか、首を切らない限りは俺達従属者も死なない。
狂犬は追いかけてこなかった。
俺達があの子を撃てるからだ。
殺せなくても。
狂犬はあの子に傷一つつけたくないのだ。
例え死ななくても。
「守るもんがあるヤツは弱い」
あの人が嘯いた。
わぁ、悪者のセリフだ。
「で、どうすんの?」
計画では頭を吹き飛ばして、思考力を奪う予定だったのだけど。
「一応、仕込みはしてあるんだけどね」
あの人は狂犬を上の階から見下ろした。
狂犬は、あの子に必死で気にもしていない。
「さて、これがハマるかな」
あの人は狂犬とあの子を見ていた。
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