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捕食者狩り12
すすり泣く声がする。
僕は目をあけた。
ガキが泣いていた。
僕の身体を拾い集めて繋いでいる
かなり、繋がっている。
足りない部分はゆっくりと自分から集まって来る。
「泣くなよ、僕は不死身だぞ。」
僕は笑う。
ガキか身体を集めてくれたから、狂犬より先に僕は動けるようになるはずだ。
「狂犬の腕は」
僕は聞く。
ガキは黙って手にとって見せる。
解ってる、コイツ。
僕達の身体は吹き飛んでも、勝手に集まり、くっついていく。
だからこそ、集まらないように狂犬の腕を持っておく必要があった。
「あっちはまだまだ動けないだろ」
僕の言葉にガキは頷いた。
泣いている。
「どうした、僕は不死身なのに」
何故泣く。
「不死身でも痛くないわけじゃない。俺だって不死身だけど、さっきヤられた時すごい痛かった、つらかった、こんなバラバラになったらもっと痛い」
ガキは泣く。
「あんたはここまでしてくれてんのに、俺あんたを責めてしまった」
僕は笑った。
「正義の味方は楽じゃないってことだ」
そしてそう言う。
ガキは泣きながら右腕を繋ぐ。
ガキが集めきれなかった他の部分も少しずつ自ら集まって来ている。
服がボロボロた。
もう少しで動けるようになる。
ガキが泣く。
僕のために。
可愛い。
ホント可愛い。
ガキをあてにしていた。
ガキが僕の身体を集めてくれると。
これで、狂犬を出し抜けた。
僕は大体集まった身体で立ち上がった。
右腕を銃にかえ、狂犬の右腕を撃った。
腕が消えた。
これで狂犬はもう、僕を殺す能力は失った。
後は狂犬が回復する前に、狂犬を撃てばいいだけだ。
三回くらい撃てば終わるか。
ただ一度撃てば10分程は撃てなくなるから、待たなければならない。
だけど、これでもう、終わりだ。
僕はよろよろとすわりこんだ。
さすがに、疲れた。
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