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正義の味方2
ガキを抱きしめて、髪を撫でていたら、物音がした。
振り返らなかった。
「着替えを持ってきた」
犬の声だった。
「お前死んだら良かったのに」
僕は心の底から言った。
「まあ、今回は我々の不手際だ。助かったよ、正直、ここまであの狂犬が強いとは思わなかった」
犬は毛布を投げてきた。
ガキの身体を覆う。
他の奴には見せたくない。
こんなエロい姿。
乳首を腫らし、キスマークをつけられ、後ろの穴からは精液をたれながしている。
振り返れば、ちゃんと犬は後ろを向いていた。
なるほど、わきまえている。
見てたら眼球えぐりだしてやろうかと思ったのに。
「なあ、悪い奴探しといて」
僕は犬に言う。
「悪い奴?」
犬は怪訝な顔をする。
「殺されてもいいような悪い奴。これから週に一回の殺す日は悪い奴を殺すことにしたから」
僕は犬がもってきた服に着替える。
ダサい。
まあ、帰るだけだからいい。
「どういう風の吹き回しだ?」
不思議そうに犬は言った。
「約束したんだよ、【正義の味方】になるって。だから、殺すのは悪い奴じゃないと」
「その子のためか」
犬は驚いたように言った。
「まあ、な。悪者で、尚且つ、僕好みの男前だったらさらにいい」
僕は言った。
「・・・男前は難しいな、でも、リストを作っておこう。こちらとしても、一般市民を狙われるよりはいい」
犬が苦笑した。
まあ、好みの男はそうないだろう。
でも、まあ、いい。
仕方ない。
僕は毛布でくるんだガキを抱き上げた。
「じゃあ、帰るよ」
僕は犬に言った。
帰ろう。
ガキと僕の家に。
家で、ガキを抱きしめて眠ろう。
僕はそれが、セックスと同じくらい気に入っていた。
「帰ろう、僕達の家に」
僕はガキにささやいた。
それはひどく甘い言葉なように僕には思えた。
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