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正義の味方3
俺は公園のベンチで鳥を見ていた。
あれから1週間になる。
あの子はここで双眼鏡を片手にスケッチしていた。
俺には単なる鳥でしかないけれど、彼にはこの風景か違うように見えたのだろう。
俺達は何なのだろう。
従属者。
ただ、思いのままに出来る者が必要なために俺達がいるのならば、最初から意志など持たないようにすればいいのに。
狂犬を殺したのは結局あの子の意志なのだし。
まるで、捕食者達の番のような俺達。
そこに意味があるのだろうか。
なぜ、捕食者が生まれたのか。
なぜ、従属者が必要なのか。
考えてしまう。
あの子を羨ましいとも思う。
あの子は狂犬をモノにした。
全部奪ってみせた。
俺はまだあの人を抱かせてもらってない。
ごまかされ続けている。
・・・抱きたい。
ホント、抱きたい。
それに好きだとも言われたことがない。
色々不満はあるし。
親や友達が恋しくもある。
でも。
俺はあの人が好きだ。
なんでだかは良く分からないけど。
本当に性格悪いし、腹黒いし、わがままだし、嫉妬深いし。
すぐ殺すし。
ちょっとまて、・・・良いところがないぞ。
顔と身体は最高だけど。
俺、そこまで外見重視なのかよ。
「行くぞ、ガキ」
あの人が俺を呼んだ。
でも、この人は可愛い。
恐ろしい人だけど、俺だけには可愛い。
俺は立ち上がり、あの人のところへ行く。
今は同じ位の背だけど、俺はもっとデカくなるし、強くなるし、あの人に抱かれるより抱く方が似合うようになる。
この人を毎晩のように抱くのは俺になる。
「悪者退治だ」
あの人が笑う。
「あんたが一番悪者なんだけどね」
俺は言う。
「正義とは手段を選ばないからな」
ニヤリとあの人は悪い笑い方をした。
また腹黒い計画を考えているんだろう。
俺は呆れる。
でもいい。
とりあえず、俺達は正義の味方だ。
とにかく、今はそれでいい。
俺はあの人と一緒に歩きはじめた。
END
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